ジャックは13歳過ぎまで、シニア犬とは思えないほど元気で尋常ではない速さで走りまくっていました。
ところが、14歳になる春頃から後ろ足の片方を引きずるようになって、段々と踏ん張りが効かなくなりました。
元々、8,5キロと小柄なコーギーでしたが、定期的な運動によって筋肉もキープ出来ていました。
しかし、散歩が短くなり、大好きだったボール投げも出来なくなると、あっという間に筋肉が落ちて、後ろ足が立たなくなってしまいました。
体重は7,5キロまで減少。
犬の整体をやってみたりもしました。
良くなったかな?と、少しでも多く歩かせようとしても、地面に足がこすれると血が出てしまったりでどんどんお散歩は減っていき、ついに体重は6,5キロにまで減ってしまいました。
筋肉でパンパンだった後ろ足は、ぺらぺらの骨と皮だけに。
今まで10年以上にわたってキープしていた筋肉が、砂の城が崩れるようにあっさりと無くなってしまい、正直、受け入れがたく、信じられませんでした。
それでも、歳だから仕方ないんだ、ジャックももう15歳だし、その割には食欲は全く落ちないし、毛艶もいいし、受け入れていこう。と落ち込みそうになる自分に言い聞かせました。
そんな日々が続いたある日、転機が訪れました。
富士山のふもとでジャックとボルドーを連れてキャンプに行きました。
愛犬とキャンプに来るのが夢だったので、本当に嬉しかったです。
翌日の朝には、前日は全く見えなかった富士山が見れて感動しました。
なんと美しい・・
水面に富士山が映る「逆さ富士」まで見ることができました。
慌ててジャックとボルドーと一緒に撮影するも、朝から「また写真かよ・・」とジャックとボルドーはどうでもよさそうな顔でした笑
冷え込んだ空気が朝日が昇り、周りを照らすと一気に暖かみを感じました。
お日様の力はすごいと改めて実感しましたね。
貴重な体験、経験が出来ました。
帰り道、こっちまで来たなら寄って行って♪会わせたい子がいるの!とお誘いを受け、お邪魔するとそこには天使がいました笑
こ、これは・・・!!
ノーフォークテリアの子犬のハルトくん、生後4か月。
めちゃくちゃ可愛いーーっ!!
物怖じせず、
ノリノリで甘えてくれます。
あぁ、たまならない可愛さ。
ジャックとご挨拶。
ジャックもなんだか楽しそうです。
ジャックが気になるハルトくん。
ボルドーがここ楽しいーっ!!と走り回る横で、ジャックに興味津々のハルトくん。
と、ここでジャックが「うおおーん!!」と鳴きました。
コーギーを飼われている方ならご存知かと思いますが、コーギーは興奮したり、嬉しいときに甲高い声で鳴くことがあります。
ここ2、3年はお店にジャックを連れていっても、後輩犬に誘われても特に反応せず、歳だからもう遊びたくないんだろうな。と思っていました。
でも、この時は確実にハルトくんに対してお?なんだ!!おれと遊ぶのか!?と興味を示したのです。
犬相手にこの声を出したのは何年ぶりかというくらいに久しぶりに聞きました。
この時、UGの複数の群れの子達はさすがに無理だけど、一対一ならまだジャックはやる気なんだと気が付きました。
ジャックの満面の笑顔も久しぶりに見ました。
ジャックが笑えば、ボルドーも笑う!?
カイトくんもありがとう!!
この時、ジャックに車椅子を買おう。と思いました。
前々から、犬仲間や先輩からジャックに車椅子を買ってあげたら?というアドバイスを何度ももらっていました。
でも、13歳まで元気だったのに・・と歩けなくなっていくジャックの姿を受け入れることが出来なかったのです。
今は、どこか痛めていて、休ませたらまた歩けるようになるのではないか?と本気で思っていました。
もう、後ろ足が回復するわけがないのに・・・
普段は偉そうにお客様にアドバイスしているくせに、愛犬のことになるとからっきしのポンコツ店長。
現実を受け入れる勇気が無かったのです。
車椅子にしたら負けを認めたことになる。と今思えば、お前の頭は大丈夫か!?というくらいの考えでした。
歳だから仕方ないと諦めていました。
でも、本音をいったらまたジャックとボール遊びがしたいという気持ちは常にありました。
ジャックの闘志は衰えていなかったのです。
弱っていたのは私の心でした。
ごめんよ、ジャック。
上手く走れなくてもいい。
数メートルでもいい。
またジャックとボール遊びがしたい。
そうとなったら善は急げ!と車椅子を探すことに。
車椅子は、犬仲間から教えてもらった「ポチの車イス」というところにお願いすることにしました。
それまでも、車椅子のサイトはたくさん見ていましたが、どこにしてよいのかいまいちわからず、決めきれませんでした。
ジャックはコーギーとしてはかなり小さく、既製品ではサイズが合わない可能性が高いし、オーダーメイドでもどこがいいのかわからなくて、いつも結局は決めきれませんでした。
ここはオーダーメイドで、予約をして愛犬を連れて行くと、その場でサイズを計ってくれて1時間ちょっとでその場で作ってくれるのです。
ジャックの体を任せる車椅子なので、出来れば生産者の方と実際にお会いしたいと思いました。
早速、最短で行ける日を予約しました。
「親父、ここどこ?」と不思議そうなジャック。
壁にはズラリと色んなサイズの車椅子が。
こちらは感謝の手紙と写真がたくさん。
スタッフの方が手際よく、体のサイズをその場で計ってくれて、あっという間に作成に入ることになりました。
隣の部屋でジャックに合わせたサイズに作られる車椅子。
アルミをカットしたりする音に不思議そうに扉を見つめるボルドー。
でも、すぐに飽きるボルドー笑
どこでもマイペースなボルドー。
フレブルあるある。
本格的に寝始めるボルドー笑
君のそのマイペースなとこ大好きだぞ。
まだかなー。
出来たー♪
ボルドー、お目覚め!!
兄貴の覚醒をしっかり見とけよボルドー!!
早速、試着。
固まるジャック。
それはそうですよね。
でも、おやつを見せるとちょっと歩きました。
完成した車椅子は思ったよりもめちゃくちゃ軽くてビックリしました。
心配していた着脱も簡単そうでホッと一安心。
作っていただいたお礼もそこそこに、行きたい場所があったので早速、向かうことに。
足が悪くなるまでは、私の休みの日に遠出していた大好きな場所です。
ここで、ボール投げをして走らせまくっていました。
でも、歩くことが出来なくなってからはほとんど来ることはありませんでした。
ジャック、違和感もあり、なかなか歩こうとしません。
これならどうだ?
ジャックの大好きなボールだぞ。
即座にテンション爆上げのジャック。
親父ー、これだよこれ!!
無我夢中とはまさにこのこと。
ひとしきり、ボールを思いっきり噛んで、キューキュー慣らしまくるジャック。
ジャック、楽しいか?
うん、楽しい!!
この後、1年半ぶりにジャックとボール投げが出来ました。
動きはまだぎくしゃくしてるし、走れないし、たった数メートルだけだけど、確かにボール投げが出来ました。
嬉しいよりも、不思議な気持ちの方が強かったです。
心のどこかで、もうボール投げでの遊びは出来ないと思っていたからです。
現実ではなく、夢のような感覚でした。
久しぶりのジャックの姿にボルドーもビックリ!?
ボルドーも久しぶりにここに来れました。
何度かボルドーだけ連れて来たりもしましたが、やっぱりジャックと一緒の方がいいのです。
これからジャックの新しい生活が始まります。
もうすぐ15歳だからなんだってんだ!!
まだまだやれる!!
ジャックが求める限り、その期待に答えようと思いました!!
なぁ、ボルドーもそう思うだろ!?
「ん?あぁ、そう?ごめん気持ちよく過ごしてるからほっといてくれる?」
お、おう!
そっか・・笑
ボルドーも久しぶりの空間を満喫していました♪
いきなりは無理かもしれないけど、少しずつ慣れていこう!!
まだまだこれからだ!!
うおー、早く車椅子買えば良かったーー!!
ポンコツな飼い主を許してくれーっ!!
そんな店長の懺悔から数日後、店長の遅い夏休み。
海ー!!
砂浜は足に優しいのです。
嬉しすぎる。
幸せすぎるっ!!
もちろん、車椅子を持っていきました。
ゆっくりだけど、歩けてる。
静かで幸せな時間。
ジャックもしっかりと地面を踏みしめて歩いているように見えました。
満足そうな笑顔を見れて嬉しいです。
ここでボルドーが一言。
ジャック兄さん、
おめでとうございますっ!!
その後は、歩けるようになったといっても歳は歳なので、様子を見ながら、疲れすぎないように気を付けました。
歩けるからとガンガン普通の道を歩くと、アスファルトで足がこすれてしまうので、それをガードする靴下や靴を探していますが、なかなかこれといったのが無いですねー。
すぐに脱げてしまったり、破れてしまったり。
というわけで、アスファルトは無理に歩かせず、土の上、芝生の上以外は抱っこかカートで移動することにしました。
へへっ、これ楽なんだよねー♪
ボールもあるとさらにご機嫌なんだぜー
さぁ、親父!!
今日もおれたちの大好きなところに行こうぜ!!
大好きなボールを思いっきり噛みしめて、キューキュー鳴らしながらのパレード笑
芝生の上だと足を心配する必要がほとんどありません。
芝ってしばらしい!!
いや、素晴らしい!!
はい、滑りましたー
ジャックも最初は戸惑っていましたが、今はノリノリで爆走出来るようになり、ひたすらボール投げを楽しんでいます。
すっかり落ちてしまっていた筋肉は、完全ではないですが復活してきています!!
筋肉が戻れば、体重も戻ります。
全盛期の8,5キロは難しいかもしれませんが、7,5キロまでは戻したいなぁと思っています。
本当に良かったです。
なぁ、ボルドー?
お前もそう思うだろ!?
「久しぶりの日光浴楽しんでるんで、ほっといてもらっていいすか!?」
お、おう!
邪魔して悪かったな・・笑
ボルドーにもここ1年は我慢させてしまうことが多かったです。
まぁまぁ、そんなに気にすんなよ、親父。
ゆっくりいこうぜー。
つーか、完璧に日向ぼっこしてるおっさんやん。
ボルドー、君をジャックの弟にして良かったよ笑
褒められると照れちゃうっ
ボルドー、調子に乗ってんじゃねえぞ!!
未だに、私が見ていないと、ご飯の時にボルドーを脅してご飯を奪うジャック笑
もう余裕で勝てるはずなのに、ボルドーは育ての親のジャックが大好きなので、ケンカをしたりは一切しません。
性格は真反対ですが、私にとっては最強のコンビです♪
ちなみに車椅子は3万円に消費税でした。
オーダーメイドで、この安さにはビックリしました。
ポチの車イスさん、本当にありがとうございました。
たらればを言っても仕方ないのはわかっていますが、早く車椅子を買えば良かったなと思いますね。
でも、もがいて悩んだこの1年半は無駄ではなかったとも思います。
おそらく、この記事もたくさんの方に見ていただけると思います。
この記事が、シニア犬を飼われている飼い主様のお役に少しでも立てたら嬉しいです。
当たり前のことですが、これからジャックとボルドーは老いていき、いつか別れの日がきます。
ジャックはいつかは前足も動きにくくなると思います。
その時は、ジャックの闘志が衰えていないなら、私は4輪の車椅子をジャックに買います。
さらに時間が経てば、寝たきりになるかもしれません。
また、その時に悩みまくると思います。
ジャックは私が自立してから、初めて自分の責任で飼った犬です。
もちろん、シニア犬との暮らしも初めてですし、ジャックとの別れでは間違いなくペットロスになるでしょう。
今から考えるだけで泣けてきますし、想像するだけで恐ろしいです。
でも、ジャックが私に与えてくれる最後の教えになるだろうと思っています。
ジャックは私の息子であり、相棒でもあり、先生でもあるのです。
これから、シニア犬のジャックを通してたくさんのことを学ぶでしょう。
本当にジャックに出会えて良かったです。
ジャックと家族になれて良かった。
ボルドー、もちろん君もね。
紅葉の季節ですね。
皆さんも、愛犬と一緒にどんどん外にお出かけしましょう!
何度も書きますが、またこうやってジャックとお出かけ出来るようになって良かったです。
1日でも長く、ジャックとボルドーといたいです。
これからもよろしく。
いつもありがとう。