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豆柴犬の子犬は小さくて飼いやすいか?

今回は、豆柴と呼ばれる小さな柴犬が合宿にきた記事です。

初めてお客様から電話がかかってきた時のことは今でもはっきりと覚えています。

悲鳴のような、心の底からの「助けてください」という電話でした。

お客様が飼っているのは、生後2か月の柴犬の女の子。

飼って間もなくですが、甘噛みが激しく、触るのもままならない状況。

電話の向こうのお客様は、飼い始めたばかりなのに、もう限界を迎えている感じでした。

これはまずいな・・・と私は思いました。

最近、よく聞く豆柴という、小さな柴犬を指す俗称。

トイプードルでいえば、ティーカッププードルという感じでしょうか?

普通の柴犬よりも小さくて飼いやすそう。

飼うのが楽そう。

私は最近のこのような流れに強い危機感を抱いています。

豆柴だから飼いやすい、可愛い。

お客様も、まさかまりちゃんがそこまで強い子犬だとは予想していなかったと思います。

予想していた大人しい子犬ではなく、まともに顔も触れない、触るどころか噛まれまくる毎日。

藁にもすがる思いでUGに電話してくださったのだと思います。

私はお客様に言いました。

「ワクチンがもう1回終わるまで待ってください。

私が何とかします。今は服従させようとか、いうことを聞かせようなんて思わなくていいですから。

とにかく、毎日、お腹いっぱいご飯を食べさせて、誤飲できないくらいの大きさの噛めるものを与えてください。

もし、もし抱っことかで外に出せるなら、外の世界を見聞きさせて刺激を与えてください。

その子はお客様をなめてるとか、リーダーになろうとして噛んでいるわけではありません。

親兄弟から離され、本来であれば一緒に暮らしながら犬同士のルールを学んだり、兄弟でじゃれあって、噛んで、噛まれて成長するはずが、今はお客様のお家にいて、お客様にしか想いを吐き出せないんです。

その子も何が何だかわかっていないかもしれません。混乱しているのかもしれません。」というようなお話しをしました。

ワクチンが終わって合宿に来るまで、お客様から2、3回お電話をいただいた記憶があります。

その度に、もう少し頑張ってください。とお話ししました。

そして、いよいよ合宿の日。

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まりちゃんが合宿にやってきました。

元気いっぱい。

気が強いのは明らかです。

いつもの合宿のようにパワーの開放、緊張からの解放、犬同士のルールを学び、お客様も合宿中はこまめに連絡をとって、合宿が終わった後の暮らし方を細かく説明し、1歳までにどれだけやれるか?というお話しをさせていただきました。

毎回、ブログで書きますが、噛むから悪い犬とは簡単には決めつけられません。

子犬の場合は、刺激が足りていなかったり、噛む力の加減がわからなかったり。

それらを経験する前、教える前に服従をさせようとしても、犬に慣れているトレーナーさんはできたとしても、初めて子犬を飼ったばかりの飼い主の方にはやり方わからなかったり、子犬もわけがわからずに嫌だ!!という意思表示がまた反抗していると思われ、さらに締め付けが増していく悪循環へ・・

そしていつの間にか愛犬は問題犬と呼ばれるようになる。

誰もが最初から犬を上手に飼えるわけではありません。

1年かけて、お客様も成長していくイメージで。

1年後に、これが笑い話しになるようにできたらいいなと思いました。

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しかし、自信満々だねぇ笑

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今日まで我慢したもんね。

合宿中、暴れるだけ暴れていいよ!!

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合宿のだいたいの説明も終わり、お客様が帰ろうとしたとき、ふと長袖を少しめくったときに私は驚きました。

「お客様、その腕は?まりちゃんにやられたんですか?」

お客様の腕は、噛まれていないところがないくらいにズタズタでした。

腕全体が真っ赤。

切り傷のような噛み跡が数えきれないくらいにありました。

なんだこれは・・・

私も子犬に甘噛みされたお客様の手や腕はたくさん見てきましたが、ここまでひどいのは初めてかもしれません。

やはり、小さかろうが豆柴だかわかりませんが、柴犬は柴犬なんだなと改めて思いました。

お客様が泣きながら必死で電話をかけてくるお気持ちがこのときはっきりわかりました。

合宿を必ず成功させねば。

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さぁ、合宿を開始しよう!!

噛んで、噛まれて、走って、暴れて、ジャンプして、お昼寝して、また起きて遊ぶ。

それが子犬の仕事です。

甘噛みの原因がご飯が足りずにイライラしてということもあるので、ご飯をうんちの状態を見ながらモリモリ与えます。

以前にもブログで書きましたが、メーカーがフードの袋に記載している給与量はあくまでも目安です。

子犬の成長は、後で取り戻すことは出来ません。

太りすぎないように気を付ける必要はありますが、たまに聞く、大きくしたくないからなどというわけのわからない理由で、成長期の子犬に食事制限をしないようにしてください。

後に、体にも心にも影響を及ぼすことがあります。

UGでは、子犬のお腹は常にぽんぽこりん、遊び相手は常にいて、調子に乗りすぎたら、親代わりの先輩に叱られます。

やっていいこと悪いこと。

スイッチのONとOFF。

超えてはいけないラインを知ること。

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持ち前の気の強さで、どんどん群れに溶け込むまりちゃん。

その当時、卒業する前のリーダーだったみやびにも臆することなく向かっていきます。

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この時のみやびは、誰とでも遊ぶわけではなく、逆に将来的に強くなりそうな女の子にはかなり厳しく、合宿組の女の子たちは戦々恐々としているくらいでした。

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あー、まりちゃんもやられるかな?

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と思っていたら、まさかのみやびがノリノリに笑

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珍しいです。

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みやびも認める強さ。

面白くなってきました。

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一度、認めたらよっぽどのことが無い限りみやびはかなりのところまで我慢します。

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みやびがまりちゃんの想いを受け止めてくれる。

これはものすごく大きなことです。

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みやび、まりちゃんの母になる笑?

UGの後輩犬以外でここまで心を許すなんて、本当に珍しいです。

でも、逆をいえばここまでみやびが認めるということは、まりちゃんもみやびクラスに強いということです。

お客様に、合宿に来る前に絶対に戦わないでください。とお話ししたのは、ビビりながら人が対峙しても、逆効果になることもあるからです。

優しく、叱るのが苦手な方に強くなれ!!と言っても難しいと思います。

なら、戦わずにひたすら刺激を与えまくること。

子犬が欲している、刺激、経験を与えることが重要だと私は思っています。

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群れにもすぐに馴染みました。

そして、まりちゃんはいつしかスタッフの間では、学級委員長と呼ばれるようになっていきました笑

まりちゃんは、かなり真面目な性格で、グレーを嫌う珍しい子犬でした。

白か黒かハッキリしないと気が済まない性格。

それは別に気にしなくていいんじゃない?ということでも、まりちゃんルールで納得いかなければ、相手にきっちりとそれは違う!!と伝えます。

その必死な様子に、我々スタッフは真面目かっ!!と突っ込みたくなるような性格で、マンガなどに出てくる超が付くくらいの真面目な学級委員長のようでした笑

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先輩に白柴のココちゃんと、同時期に合宿に来た黒柴のマロちゃん。

体の大きさはマロちゃんの方が断然大きく、月齢もマロちゃんの方が上なのに、まりちゃんは挨拶の仕方がなってない!!とマロちゃんに指導していました笑

この小さな月齢でここまで状況判断が出来ることに驚くとともに、お客様の腕を滅多噛みしていたのは、生まれ持ったリーダー気質としっかりした性格から、曖昧なルール、常に緊張と不安がいっぱいのお家の中の空気とお客様を見て、反応していたのもあるのかなと思いました。

お客様からすると、何をするにも飛び掛かってきて、噛みついてくるまりちゃんはとんでもない子犬に思えたかもしれませんが、私にとってはまりちゃんは磨けば輝く原石のような子、まさしく逸材だと感じました。

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でも、お客様は優しいです。

厳しくはなかなかできないですし、例え厳しくしよう!!と頑張っても、学級委員長のまりちゃんは「お母さんの方こそビシッとしなさい!!」と怒るでしょう笑

お客様が戦わずにまりちゃんと良い関係を築く方法は何か?

やはり、散歩です。

まりちゃんはワクチンが終わったばかりで、まだお散歩には行っていません。

室内だけの狭い世界から、刺激が圧倒的に多い外に出て、世界を拡げるのです。

お家の中では、すぐに緊張と不安が充満してしまいます。

そこで、お客様がいくらしつけをしようとしても、結局は戦いが始まる可能性が高いです。

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部屋の中で悩んでいても仕方ありません。

外に出よう!

気の強さを生かして、合宿中に散歩で歩けるようにします。

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初めてのリードにまりちゃんは戸惑い、怒っていますが、それも想定内です。

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リードに慣れると、少しずつ周りが気になってきます。

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でも、またなんだこれはー!!とリードを噛む笑

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道行く人、自転車、車、バイク、電車、ありとあらゆる音を見聞きします。

それらは情報の洪水として、一気に脳に流れ込んでいきます。

一つ、一つ、あれはなんだ?とそれらを処理し、脳がフル回転することで、子犬は室内に無かった刺激、必要最低限のストレスを受け止め、クリアしていくことで、成長していきます。

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そして、納得したら歩き出します。

頭の良い子ほど、刺激を与えたら与えた分だけ吸収していきます。

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時には2頭でお散歩に行ってみたり。

どんどん表情が柔らかくなっていくまりちゃん。

そして、あっという間にお迎えの日。

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お客様にリードを持ってもらいます。

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合宿中にたくさんの経験を積んだまりちゃんは成長していました。

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途中、匂いを嗅ぎ、

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声をかけてくれた男性に近付き、

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挨拶をし、

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すっかり懐くまりちゃん笑

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以前は問答無用で暴れ、噛みついていたまりちゃんとお母さんの間に初めてできた意思の疎通。

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お客様にはリーダーになってほしいとは思いません。

厳しくあれとも言いません。

でも、まりちゃんが迷わないように上手にリードしてあげてほしいのです。

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最低限の規律とルールを。

真面目なまりちゃんだからこそ余計にそれらが大事になってくると思います。

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きちんと正しい道筋を示してあげればほとんどの柴犬はそれに応えてくれます。

お客様には、1歳まで頑張ってみましょう。

後悔のないようにとことんやりましょう。とお話ししました。

合宿は終わりではなく、始まりに過ぎません。

優しいお客様がどこまでやれるのか?

愛犬を信じてどこまでやれるか?

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合宿後もお客様からどうしたらいいのでしょう?という電話が何回かありました。

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それでも、やはり前と比べるとお客様とまりちゃんの関係は良い方に変わっており、とにかく刺激を与えましょう。とお話ししました。

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時には、ドッグランでものすごい声と顔で遊ぶのは大丈夫なのか?と電話があったりしました。

UGに遊びに来れれば話しは早いのですが、お家からUGが遠く、お客様もお忙しくて、来たくても来れないジレンマがありました。

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そんなときは、お店にいた柴犬同士の遊んでいる様子を動画で送り、子犬はみんなこうやって遊んで成長しますよ、大丈夫ですよ。と連絡をしたり。

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暴れて、寝て、

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成長する。

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その繰り返し。

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お家でも、こんな可愛い寝顔でいてくれているかな?

最初から悪い犬はいないのです。

私はお母さん頑張れ!!と応援することしか出来ませんでした。

そして、先日、お客様が久しぶりにご来店されました。

まりちゃんが1歳になったことを報告してくださいました。

心配していたまりちゃんの様子を聞きました。

お客様は、「忙しかったり、車が運転出来ないのでなかなかUGには来れなかったけれど、とにかく店長の言うことを信じて、雨の日もひたすら歩きました。毎日、毎日。頑張りすぎて途中で体調を崩したけれど、それでも歩き続けました。まりに刺激を与えるために。」

そこには、1年前に愛犬を触れず、ズタズタな腕で、目線は下がりがちで、自信なさげなおどおどしたお客様はいませんでした。

本当に同じ方なのかな?と思うくらいに、しっかりとした笑顔のお客様がそこにはいました。

1歳になるまでのお母さんの頑張り。

合宿後にほとんど会えなかったですが、お母さんの表情からそれは手に取るようにわかりました。

お母さんのまりちゃんを信じ続けて歩き続けて頑張った姿を想像し、目の前のお客様の笑顔に思わず涙が溢れていました。

正直、お母さんはまりちゃんを上手く導けるだろうか?という一抹の不安はありました。

心が折れずに1歳まで頑張れるだろうか?

なんで小さな豆柴、大人しい女の子を飼ったはずなのに、まりはこんななんだろう?と、悩んだり、まりちゃんを疑ったりしないだろうか?と心配でした。

でも、まりちゃんは今では日向ぼっこが大好きなお利口な柴犬になりました。

お客様と話しをしながら、私は涙が止まりませんでした。

本当に嬉しかったです。

そして、お客様に感謝しました。

そして、その日の夜、お客様から連絡をいただきました。

先ほどはお世話になりました。

最近のまりです。

今日は雨でしたので、早朝に散歩に出かけました。

途中黒柴犬に出会いまりは早速あいさつしていました。

まりと散歩をすると20年前、息子と手をつないで歩いたことを思い出しました。

まりとは手をつなげませんがリードで繋がっています。

お互いの気持ちはリードを通して伝わるみたいです。

一緒にブランコにのったり鳥を追いかけたり野良猫に出会ったり散歩を通して犬育ての喜びを体験させてもらってます。

お散歩の大切さを教えて下さりありがとうございました。

店長に感謝しています。

もう嬉しすぎてまた泣きました。

戦わずに、向き合ってくれてありがとうございました。

1歳まで、まりちゃんと私を信じてくれてありがとうございました。

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最近、海外でも人気が高まっている柴犬。

日本では、小さな柴犬は豆柴と呼ばれ、これまた人気があるようです。

何度でも書きます。

小さかろうが、豆柴だろうが、柴犬は柴犬なのです。

気が強く、意思をはっきりと持った犬です。

愛玩犬ではありません。

今回のお客様とまりちゃんのようなパターンは意外と多いのかもしれません。

合宿に来たお客様、皆さまが柴犬がここまで飼うのが大変だとは思わなかった。と仰います。

柴犬は、愛情深く、飼い主一途の素晴らしい犬種です。

でも、人がブレたり、納得がいかなければ、ハッキリとNOという犬種です。

しっかりしつけるならしつける。

厳しく出来ないなら、今回のように開放を意識する。

中途半端に褒めて、中途半端に叱ると柴犬は迷います。

飼い主の数、その愛犬の数によってそれぞれの家庭の形は変わります。

豆柴が小さくて飼いやすそうだから。と安直に考えず、柴犬を勉強してから飼っていただきたいです。

誤解される犬が減りますように。

愛犬をきちんと理解する飼い主の方が増えますように。

これからも人と犬の笑顔の架け橋となれるように精進したいと思います。