甘噛みと散歩で拾い食いをするダックスフンドの子犬のカウンセリング。

カウンセリングの投稿が思いの外、好評なので、これからシリーズ化していこうかと思います。

今回、カウンセリングに来てくれたのは、生後8か月のミニチュアダックスフンドのシェリーちゃん。

予約の電話をしてきたお客様はかなり疲れた様子でした。

こだわりの強いダックス。

そして生後8か月・・・

正直、難しいと思いました。

でも、まだ成犬ではありません。

どの犬種もそうですが、小型犬の中でもダックスは特に生後6か月までに社会化を終わらせておきたい犬種です。

どれだけ吠えるんだろうか?と思いながら、いざカウンセリング開始。

お客様が来店され、キャリーバッグごとお預かりし、お客様にはカウンセリングシートをご記入いただいている間、店長は特に触ることもなく、話しかけることもなく、静かに子犬の動き、様子を観察します。

バッグの扉を開けた時もその子によって反応が違います。

ダックスで多いのは、怖くて出てこれなかったり、ウゥと唸ったり、わんわん吠えたり、飛び出したもののパニックになったり。

シェリーちゃんは、ぬるっとバッグから出てきました。

そして、軽く緊張はしているものの、足取りは軽いです。

珍しい。

良い子だな。とその一瞬でわかりました。

お客様はシェリーちゃんを理解できておらず、シェリーちゃんは誤解されているのかなと予想しました。

お客様は甘噛みに悩み、トレーナーさんにお願いしましたが、首をつまみあげて、おそらくどちらが強いかわからせなさい的な対処法と、噛まれたら口の中に嫌がるまで指を突っ込みなさいというアドバイスをされましたが、優しいお客様はどちらもできませんでした。

うん、やらなくていいと思います笑

この場合、やはり噛む=悪い犬という図式が真っ先に成り立ってしまっています。

では、実際に目の前にいるこの子は押さえ付けないと言うことを聞かない、攻撃的で生意気な子犬なのでしょうか?

違いますね。

初めての場所で緊張はしていますが、今までカウンセリングで見たダックスの中では一番落ち着きがあります。

まず、お客様になぜ噛むのか?ということをお話しすることにしました。

ダックスフンドという犬種について説明します。

ダックスフンドは、ドイツが原産のアナグマを狩るために作出された犬種です。

巣穴にいるアナグマと対峙するため、巣穴に潜れるように手足が短く改良されました。

アナグマをどんどん追い詰めるために、穴を掘り進め、見つけたら吠えまくって、飼い主にここにいるよ!!と吠えて知らせます。

こういう経緯から、ダックスはユーモラスな見た目とは裏腹に、体力があり、良く吠える犬種だということがわかります。

大人しいダックスももちろんいますが、普通はよく吠え、走り、掘るのがダックスだと思って良いのではないかと思います。

ここでお客様に問います。

この子に運動は足りていますか?

刺激は足りていますか?

疑似的獲物の噛むおもちゃ、骨などを与えていますか?

どれも、足りているとは言えない状況でした。

噛むものが無いから、人の手を、家具を噛んでいただけかもしれません。

話しを最初に戻しましょう。

子犬として、ダックスの特性を無視して、甘噛みするからと、いきなり首をつかんで持ち上げたり、口の中に手を突っ込むのはズレてるなぁと思います。

そして、飼い主がやりたくない、できない「支配」を前提としたトレーニングも思わぬ悪い方向にいきかねません。

真似しようとは思いませんが、私も叱るときは鬼のように叱ることもありますし、自分が決して優しいとも思いません。

カウンセリングで心がけているのは、そのお客様と、その愛犬に合ったアドバイスをするということです。

私のブログを見て、カウンセリングにいらしたお客様はとても優しい方が多いです。

中には、子犬ってこんなに命令して飼うものなのだろうか?と疑問を持ってこのブログに辿りついて、カウンセリングに来てくださるお客様も。

愛犬と「普通」に「楽しく」暮らしたい。

当たり前なはずなのに、それが出来ないもどかしさ。

落ち込んだり、イライラしたり、最終的には子犬を飼ったことを後悔し、最悪なケースでは子犬を手放してしまうことも。

シェリーちゃんはかなりいい子です。

犬と会わせると、かなり怖がりますが、それは今までに経験していないのと、ダックスは人見知り、犬見知りする子が多いので、極端に吠えたり、噛む素振りを見せなければいいかなと思います。

お散歩はどうですか?と聞くと、拾い食いがすごいとのこと。

実際に行って見てみます。

確かに、前後をいったりきたり、左右にジグザグ、落ち着きが全くありません。

刺激が足りていないシェリーちゃんは、お散歩となると、超興奮状態で歩くため、外での少しの刺激に反応し、枯れ葉などがあるとパクッとくわえたりするわけです。

匂いをくんくんするのも犬としての本能を満たし、脳への情報もたくさんあって良いですが、体を動かすこともとても大事です。

カウンセリングでお散歩に30分行っています。とお客様から聞いても、実際は半分以上立ち止まって匂いを嗅いでいたりして、肝心な体を動かせていないケースがとても多いです。

この段階では、リードを持った人に対する意識はシェリーちゃんにはありません。

それよりも興奮が勝っているからですね。

この歩き方だといつ吠えてもおかしくないくらい、緊張と興奮が強いです。

結果、お客様は、シェリーちゃんの後ろをただ付いていくだけのお散歩になってしまっていました。

私がリードを持ちます。

いつものように、意識を前へ集中させます。

いつものように数分で前後左右のブレは無くなり、真っすぐ歩けるようになりました。

お客様はいつものようにビックリ笑

リードをお客様に持ってもらいます。

今までのお散歩はなんだったのか?というくらいに楽に歩けるようになりました。

意識がバラバラだったのが、まとまってきましたね。

そして、お店に帰って来ると、シェリーちゃんも今までにないお散歩が立派な刺激になり、頭も疲れ、一回りだけでしたが、しっかり歩いたことで体もある程度動かせて満足し、お客様を見上げて、ブログトップの笑顔の写真になったわけです。

お客様は、短時間の中で愛犬がこれだけの変化を見せたことにただただ驚いていました。

お散歩も命令したわけでもなく、リードショックをしたわけでもなく、おやつをあげたわけでもなく、明るく話しかけたわけでもなく。

「普通」に歩いただけなのに、なぜこんなに変わったのか?と。

犬の好きなように歩くお散歩は時に、その子によってはより緊張が増すことがあります。

誰とお散歩に行っているのか?

誰がリードを持っているのか?

シェリーちゃんは問題犬ではなかったのです。

合宿に来る必要などありません。

お客様には、やらなければいけないことがたくさんあります。

留守番が長いので、お散歩できっちり体を動かすこと。

体力があるダックスだからこそガンガン歩いてもらいたいです。

きちんと噛ませるものを用意すること。

ただ単に噛むのが悪いのではありません。

子犬は色んなものを噛みます。

ダックスも噛みたい欲求は強い犬種だと思います。

噛むものを与えないから、人の手や家具に向かっている可能性は大ですね。

鹿角

そこで、合宿の子達の御用達!!

しかつの

ゴリゴリかじれるUGオリジナルの鹿の角と羊の骨を買っていただきました。

かじっても叱られるどころか、食べれる角と骨は、犬の本能を満たすに疑似的獲物と言ってもいいでしょう。

ただ、唯一犬への反応がちょっと気になりました。

合宿に来るレベルでは全くありませんが、他の犬への反応が少し気になるので、社会化のお泊まりをお客様に提案しました。

恐らく、遊べるようにはならないとは思いますが、犬というのを知っておいた方が良いことには変わりありません。

ダックスで多い、小さいときは全く犬や人に吠えなかったのに、成長したらいきなり吠えまくるようになった。という相談や、それが理由で合宿に来るダックスは多いですが、威張って吠えているというよりも、わけがわからないから、吠えている場合の方が多いです。

実際に、相手と会わせてみると何も出来ないか、吠えながら襲うふりはしますが、実際にやれない子の方が、私が見る限りでは多いですね。

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お泊り中、シェリーちゃんは、最初は怖くて軽いパニックを起こしたり、帰りたがって、近くで犬同士で遊んでいるのを、ケンカしていると勘違いしてブルブル震えたりしていましたが、帰る日には、遊びはしないものの、普通にみんなといれるようになりました。

遊べるようにならなくてもいいのです。

犬というものをまずは知ること。

犬がある程度、理解出来ていれば、1歳になったら急にシェリーちゃんが他の犬に吠えるようになるという確率を減らすことが出来ます。

お迎えに来たお客様は、「トレーニングとかしつけよりも、私がダックスという犬種を理解していなかったこと、シェリーのことで知らないことがたくさんあって、店長さんとお話しして、わかったことがたくさんありました。カウンセリングが終わったその日から甘噛みも今までがなんだったのか?というくらいに無くなったし、お散歩も拾い食いも無くなって、今までと違くて、お散歩が楽しくなりました!!こんなに犬って変わるの?と本当に驚きました。」と仰っていただきました。

子犬のしつけに悩んでいる飼い主の方は、まず自分の愛犬のルーツを勉強してみるのもいいかもしれませんね。

純血種というのは、その犬種が作られた理由が必ずあります。

吠えるからダメな犬。

噛むから悪い犬とすぐに決めつけるのは早いかもしれません。

吠えやすいのは、その犬種の特性だとしたら?

これも何度もこのブログで書いていますが、なぜ吠えるのか?なぜ噛むのか?を考えてあげてください。

おそらく、今回のお客様とシェリーちゃんのようなパターンで悩んでいたり、理解していなかったり、誤解している例はものすごく多いのではないかなと感じました。

私から見たら、シェリーちゃんはちょっと犬にはシャイだけど、人が大好きなお嬢様タイプですが、お客様はそれがわからずに本気で悩んでいました。

これからは、楽しく暮らしていけると思います。

少しでも変だな。と思ったら1歳まではすぐに連れてきてください。とお話ししてあります。

UGと店長と群れのみんながいるから大丈夫!!とお客様が思っていただけたら嬉しいです。

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シェリーさん、強烈な群れのメンバーに囲まれて、お泊りよく頑張りました!!

これからは楽しいことばかりだよー。

良かったね♪

最初から悪い犬はほとんどいません。

問題犬、悪い犬と言われている犬を育てたのは誰か?

人です。

犬は家族です。

でも、人間ではありません。

犬をもっと勉強し、理解しましょう。

人が変われば、犬も変わります。

お客様とシェリーちゃんのお役に立てて本当に嬉しかったです。

これからも人と犬の幸せのお手伝いが出来るように努力していきたいと思います。