飼い主様を悩ませる食糞について、その原因と食糞をやめさせる対策についてご紹介しています。
食糞とは
食糞とは、文字通り糞便を食べることをいい、頻繁に糞便を食べてしまう症状のことを食糞症といいます。
食糞により犬自身が病気にかかってしまう可能性もありますし、何より飼い主様が食糞による口臭に嫌悪感を抱くため、食糞について悩まれる方が多くいらっしゃるかと思います。
食糞の原因とその対処法
食糞の原因については様々あります。大きく分けて、行動・消化器・フードの3つの原因に切り分けることが出来ます。
行動
- 食糞をすると飼い主の注意を引けると誤って学習してしまっている
- 長時間ケージやサークルの中にいることのストレス
- 糞を隠すための行動(糞をすることで怒られていると誤って学習している)
- 糞便に対しての興味関心がある
- 母犬の防衛本能
食糞をすると飼い主の注意を引けると誤って学習してしまっている
食糞をすると、飼い主様が大声を出したり動きまわったりすることが、犬にとってはかまってくれていると勘違いしてしまい、食糞をすると飼い主がかまってくれると犬が誤った学習をしてしまっているケースです。食糞をした場合でも慌てずに処理をする必要があります。
長時間ケージやサークルの中にいることのストレス
長時間ケージやサークルの中でお留守番などをしなければならないケースでは、することがなくなってしまうため、匂いがする糞に興味が出てきてしまい、食糞を引き起こす場合があります。出来る限り長時間ケージやサークルに入れないようにしたり、入れる前に散歩などをして糞をさせることで、ケージやサークル内で糞をしないようにするなどの対処が必要です。
糞を隠すための行動
食糞をすることで叱っていると、犬にとっては食糞を怒られているのか、糞をすること自体を怒っているのか分からないため、糞をすること自体がいけないことだと誤って学習してしまうケースがあります。その場合に、糞をすることを隠すために、食糞してしまう場合があります。
糞をしたことと食糞をしたタイミングが近い時に、叱ることは避けましょう。
糞便に対しての興味関心がある
外界への好奇心が特に旺盛になる子犬期においては、糞の匂いや形状に誘われて食糞をしてしまう場合があります。これが理由の場合には、大人(成犬)になるにつれて収まっていく傾向にあります。
母犬の防衛本能
授乳開始後初めの3週間において、母犬は子犬の糞を食べます。これは、糞の匂いによって外敵に場所を特定され、子犬に危険が及ぶことを防ぐための本能行動です。
消化器疾患
- 消化不良により、糞に栄養が残り、食べ物と間違えてしまう
- 寄生虫に感染している
- 糖尿病やクッシング症候群
消化不良により、糞に栄養が残り、食べ物と間違えてしまう
フードとの複合要因でもありますが、消化能力が低いため、食べ物の栄養が残ったまま糞となり排出された場合に、餌と間違えて食べてしまうケースがあります。
腸内をサポートするサプリメント(乳酸菌、消化酵素等)を利用したり、適度な運動をして体質改善をして、腸内環境を整えていくことが重要です。
寄生虫に感染している
寄生虫に感染している場合には、寄生虫に栄養を奪われてしまい栄養不足となり、栄養を摂取するために糞を食べてしまうケースが有ります。その場合には、動物病院に行って、治療を受ける必要があります。
糖尿病やクッシング症候群による多食症
糖尿病は、すい臓から分泌されるホルモンであるインスリンの不足や、インスリン感受性の低下によって起こります。糖尿病になった犬は、多飲多尿、食欲の増加、やせるなどの症状が現れます。
クッシング症候群とは、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(コルチゾール)が大量に分泌されることによって起こる病気です。この病気はお腹が出てきたり、多飲多尿になる、毛が薄くなるなどの特徴が出てくるので、これらの症状が同時に現れた場合には、この病気を疑う必要が出てきます。
これらの病気が原因による多食症で、食糞行動を引き起こす場合があります。
フード
- 消化の悪いフードを食べているため、糞に栄養が残り、食べ物と間違えてしまう
- 食事量が少なく空腹状態のため、食べてしまう
- 与える食事量が多すぎて消化不良を起こし、食べてしまう
消化の悪いフードを食べているため、糞に栄養が残り、食べ物と間違えてしまう
消化の悪いフードを食べているため、排出される便にも栄養が残ってしまい、食糞をしてしまう場合があります。消化率の高いフードに変更をすることで改善する場合があります。また、フードを変更した場合に、変化に消化器が対応しきれずに未消化となってしまうこともあります。
わんちゃんによって、消化しやすいものが異なりますが、一般的には鶏肉や魚などの動物性タンパクや穀物では白米などが消化率の高い原材料なので、それらを主原料にしたフードを与えてみるとよいでしょう。
食事量が少なく空腹状態のため、食べてしまう
食事量が少なく空腹状態の場合には、やむを得ず糞を食べてしまうケースがあります。ドライフードを与えている場合には、目安を参考にした上で適切な量を与える必要があります。
与える食事量が多すぎて消化不良を起こし、食べてしまう
逆に与える量が多すぎて消化不良を起こし、排出される便に栄養が残るため、便を出したタイミングによっては糞を食べてしまうケースが有ります。空腹状態の時と同様に適切な量を与えましょう。
食糞を防ぐための方法
食糞を防ぐためのしつけやフードによる対処等、いくつかの対応方法があります。
糞をしたらすぐに取り除く
糞をしたらすぐに取り除くことが重要です。また、しっかりトイレでした場合には大げさでもいいのでたくさん褒めてあげましょう。そうすれば、糞をすることで褒めてくれると学習します。飼い主との信頼関係がしっかりあるわんちゃんであれば、このしつけを行うことで、糞をしたことを知らせに来てくれます。
食糞をしないためのしつけをする
リードを付けて糞を食べようとしたときに軽くひっぱり、食べることがNGだということを学習させるしつけ方法があります。食べなかった時にご褒美を上げたり、たくさん褒めてあげることで、食べないことで飼い主から褒められるという学習をします。
糞が苦くなるサプリメントを使う・糞に犬が嫌がるスプレーを掛ける
糞が苦くなる等の効果がある食糞対策用サプリメントを与えたり、糞にスプレーを掛けることで、糞がまずいものだと学習させる方法があります。この方法は、効果に個体差があります。
繊維を増量したフードを与える
繊維を増量したフードを与えることが、食糞に効果があると報告されています。そのため、普段与えているフードより繊維質の高いフードを与えることで改善が見られる可能性があります。
自由採食法
フードの与え方を自由採食法(いつでもフードが食べられる状態)にすると改善が見られるケースがあります。しかし、自由採食法は食べ過ぎて肥満を引き起こす可能性があるのであまりおすすめは出来ません。
食糞症を克服するポイント
食糞をする原因について的確に見極め、原因を特定しその原因に合った対処法を実施することと、これらの対処法の中で合う方法を見つける事が重要です。愛するわんちゃんの口が臭いというのはとても残念な気持ちになると思いますので、適切な方法をみつけ、食糞症を克服しましょう。