ペットフードの危険性を誤った知識で煽るのはもうやめませんか?

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news_fake_dema市場に出回っているドッグフードやキャットフードは、確かに一部粗悪なものもありますが、根拠の無いデマや誤った知識を元に、不安を煽っているサイトも多く見られます。ネットが普及する以前であれば、ペットショップの店員からの情報でしかペットフードの良し悪しを判断できなかったため、今のようにネット上で様々な情報を手に入れることが出来ることで、良い点も多くありますが、一方でいたずらに不安を煽り、アフィリエイト等で誘導して利益を得ることだけが目的の悪質なサイトも多く見受けられます。巷でよく言われている誤った内容について私の考えをまとめました。

水に沈めて浮かぶフードは悪いフード?

水に浮かべて浮かぶフードはダメで、沈むフードは良いフードだという情報がありましたが、浮沈は原料の質は殆ど関係がありません。沈むか浮かぶかが決まる一番大きな要因は、製造方法です。多くのフードは、エクストルーダーという機械で加熱発泡して製造されます。かなりの高温で製造されるという点で問題があると考えることは出来ますが、原料は殆ど関係ありません。発泡されていて軽いため、この製法で作られているペットフードの大半は浮かびます。また、発泡しているドッグフードには発泡剤というものが使われていると言われることがありますが、発泡剤と原材料に記載があるフードを今まで見たことがありません。そもそもそのようなものを入れなくても通常のドッグフードは発泡させることが可能なので、あえて入れる理由がないと思います。

ちなみに当社が製造するドッグフードZENも殆どが沈みますが、その点を持って良質だと伝えることは一切ございません。

ミールやエキスは病死した動物が使われている?

ミールは病死した動物が使われていると言われることがありますが、ミールとは挽くという意味で原料から水分を除いた粉末のことをいいます。ミールという表記で原料に至る過程を判断することは出来ません。ミールは、レンダリングされる間に何度か加熱されているため、良質かどうかという点で議論の余地はあると思いますが、ミールは全て病死した動物の肉だと言わんばかりの根拠が無い意見を流すのはどうなのだろうかと思います。副産物については後述致しますが、ミール=副産物という書き方をしているケースもありますが、そうとは限りません。

ブランドによっては、ミールという表記が不評であることから、乾燥○○や○○粉と表記しているものもありますが、基本的にミールと同一の原料と考えて良いと思います。

ただ、ミートミールやミートエキスという表記については注意したほうが良いと思います。どのような肉を使用しているか指定されていないため、コストカットを目的として添加されるものだと思います。

副産物は粗悪?

副産物というのは内臓などが主なものですが、内臓は栄養が豊富です。野生化の犬は、内臓も食して栄養を取り込みます。むしろ正肉だけ食べていれば栄養が偏るため、副産物も栄養的に重要な原料です。

また、副産物という表記がない場合でも、原料のレンダリング方法によっては、副産物と呼ばれる内臓が含まれています。それは隠蔽するためではなく、栄養的に必要であるから添加しているケースが大半を占めます。

嘴や鶏冠などの栄養が少ないものでかさ増ししているということが言われますが、嘴をわざわざ粉砕して利用したりすることはないのではと推察されます。鶏冠はおやつなどにも使われているので、食べても問題ありません。

副産物自体は、コスト的に安くなる傾向にあるため、どうしてもネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、主産物の製造過程から派生するものであるだけなので、一つ一つの良し悪しは精査すべきかと思います。

ミネラルやビタミンを添加するのは粗悪なものを使っているから?

ペットフードは製造する際に殺菌やでん粉のα化を目的として加熱します。加熱の際に一部のビタミンは失われるため、損失しても必要量が残るように事前添加します。また、自然界で獲物を食した場合には、血や骨も食べますが、ドッグフードでは骨を取り除かれ血抜きされた正肉が使われるため、自然界で摂取できていたミネラルが不足します。その不足分を補うためにミネラルを添加します。

コストカットが目的であれば、あえてコストが高いミネラルやビタミンを添加する必要はありません。逆にミネラルを添加していないフードは、不足する可能性もありますので注意が必要です。特に注意したいのは、カルシウム、リン、ナトリウムの不足です。

米やとうもろこし等の穀物は犬は消化できない?

穀物は犬が消化できないからよくないということが言われますが、ペットフードに含まれている穀物は加熱により大部分がアルファ化されているので容易に消化吸収できます。また、飼い犬は、人間と暮らしていくなかで、穀物の消化能力を高めていったとされて、狼と消化能力が異なっているとされています。(2013年1月の英科学誌ネイチャーより)詳しくは「犬はフードに含まれている炭水化物を消化できないのか?」という記事をご確認下さい。

また、食物アレルギーの原因と言われることも有りますが、ある調査によると小麦と大豆に食物アレルギーを持つ犬は多かったが、とうもろこしの食物アレルギーは少なかったという調査結果があります。また、米も低アレルゲンの食材ですが、玄米は白米と比べるとややアレルギー反応を起こすわんちゃんが多いようです。穀物の種類によりアレルゲンになりやすかったりなりにくかったりという傾向がありますので、穀物という括りで食物アレルギーになりやすいとしてしまうことには強い違和感があります。

小麦は、食物アレルギーを持つケースが多い上にグルテンを含んでいるため、個人的にはコストメリット以外の利点は見いだせません。大豆も、たん白質を豊富に含んではいますが、たん白質の質(生物価)が低く、ある調査によると小麦ほどではないにせよアレルギーを持つ犬もいます。(北米の獣医師による253頭の犬への調査において約25%の犬に大豆のアレルギー反応が見られたというデータがあります)豆腐や納豆のように加工や発酵により消化性が向上されていれば話は変わりますが、そのままでの原料利用はコストメリット以外にあまりないと思います。

消化率は高ければ高いほどいい?

50年以上前の知識ではそうなりますが、現在の栄養学では否定されています。21世紀以前の栄養学では、消化できないものは全て不必要という考え方がありましたが、昨今では消化されない食品でも健康維持に重要な役割をもつことが分かってきています。

難消化性の食品として、主に不溶性食物繊維や難消化性デンプンが上げられます。これらは、体内で作られる消化酵素では消化されず、有用な短鎖脂肪酸を作り出す一部の腸内細菌に利用されたり、排便を促したりする効果があるとされています。

難消化性成分を含む食品を入れなければ消化率がより高くなりますが、健康維持にとっては望ましくないものになると考えられます。極端に低い消化率は問題ですが、高ければ高いほどいいというのは誤りです。

ニンニクは有毒?

原材料にニンニクが載っている一般的なペットフードに含まれるニンニク量の少なくとも50倍以上の量が添加されていたとしたら、溶血を示す可能性があります。ただ、50倍もの量に増やしたらニンニク以外の原材料でも、健康を害する原料が数多く存在します。重要なのは添加量です。添加量を誤れば、有用な原材料も害になるものが多くあります。

メーカーとしても、有害であればコストが高いニンニクをわざわざ入れるメリットが全くありません。

犬に塩分は不要?

犬に塩分は必要です。塩分は犬にとって嗜好性を高めるためではなく、健康維持のために添加されています。詳しくは「ドッグフードに塩分は必要ない?」という記事をご確認下さい。

正規代理店以外の販売店は並行輸入品?

正規代理店のみが直接お客様へ販売している形態の場合にその可能性がありますが、多くのケースで誤りです。正規代理店が卸している販売店は、正規品を販売しています。その場合も間に問屋が入るケースがあるので、正規代理店から販売店に直接卸していない場合もあります。

成分表に「粗」が付いているのは粗悪な原料を使用しているから?

違います。厳密に数値の全てがその成分ではないという意味です。例えば、粗タンパク質という表記では、厳密にはタンパク質以外の僅かな成分が含まれているためです。ドッグフードの他に、人用の食品でもそのような表記がされていることがあります。原料の品質との関係はありません。

ドライフードの賞味期限が長いのは、強力な防腐剤を使用しているから?

大半の場合は違います。ドライフードの賞味期限が長いのは、気密性のあるパッケージを使用し、水分活性を抑えているからです。

水分活性が低い食品のひとつとして蜂蜜が挙げられますが、一般的な蜂蜜は腐敗しません。それは水分活性が低いためで、防腐剤が入っていなくても水分活性が抑えられれば腐敗を防ぐことが出来ます。ドライフードは、主に製造過程で水分活性が抑えられ、気密性のあるパッケージに梱包されることで水分が外部から入ることを防ぐことにより、腐敗を防いでいます。

最後に

昨今は、毎年のように新しいフードが誕生し、そのたびに新しい売り文句が生まれ、フードにまつわる多くの情報が氾濫しています。我々のようなフードに関わる人ならまだしも、一般の方が正しい情報と誤った情報を取捨選択することが困難になっています。弊社では、出来る限り客観的な情報を元にお客様へ情報のご提供やフードのご案内をしていけるように努めてまいりますので、何か不安な点がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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この記事の筆者

吉武 雄史UGpet Inc. 代表取締役社長

小学校の卒業文集に「ペットショップの店長になりたい」と夢を記し、20歳となり1年間アルバイトをして貯めた資金を元手として、明治大学在学中にUGペットを創業。現代表取締役社長を務める。愛犬はトイ・プードルのくるみとミニチュアダックスフントのビビ。

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