今回、合宿に来てくれたのは、生後7ヶ月のトイプードルの女の子のプリンちゃん。
お話しを伺うと、ドッグランに行ったときに、ある犬にしつこく追い掛け回され、それがトラウマになってしまったのか、他の犬がダメになってしまい、それからお散歩の時も前から犬が来ると怖がって避けるようになってしまったそうです。
ドッグランと聞くと、たくさんの犬が集まって、楽しそうな場所。というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、色んな犬が集まるからこそ、注意しなければいけないことがたくさんあります。
初めて行ったドッグランで、嫌な思いや怖い思いをして、犬がダメになってしまった。という話しはよく聞きます。
子犬は特に気を付けなければいけません。
出来れば、ドッグランに入る前に中の様子を見て、激しすぎる犬がいたり、飼い主が近くにいないのに自由にしていたりなど、少しでもおかしいな、と思ったら、入るのを止めるか、慌てずに時間をかけて様子を見てから入るようにしたほうがいいと思います。
子犬にとっては一生に関わることになりかねません。
プリンちゃんの場合は隣の柵を乗り越えて来た犬に追い掛け回されたということなので、とても怖かったのではないかと思います。
それでも、大事に抱っこされているプリンちゃんを見て、私は怖がりだとは感じませんでした。会ってすぐに感じたのは、先日合宿に来てくれた同じトイプードルのもなかちゃんに似ているということでした。
強い。
でも、そのプリンちゃん自身が強さとパワーの発散のさせかたがまだわかっていない。
そんな風に感じました。
犬への恐怖と緊張、不安を解除しながら、それと同時に、犬を理解させる作業をしていかなければいけません。
お客様の要望は3泊4日。
間に合うかどうか。
ギリギリか、間に合わない可能性もありますが、なんとかやってみます。ということでお預かりすることになりました。
群れに放しても、もちろん怖いプリンちゃん。
店長の足元に隠れます。
他の犬が近寄ると緊張が一気に高まります。
ひたすら怖い。
犬があまり来ないここがプリンちゃんの定位置になりました。
そこから基本的には動けず。
そこ、トイレなんだけどな(^_^;)
犬同士が何をしているのかが全くわかっていない様子。
みんながじゃれあい、プロレスごっこをし始めると、ブルブル震えだします。
なんで私はここにいるの?どうして?といった表情。
変わるために、今までに足りなかった経験を取り戻すためにうちに来たんだよ。
大丈夫、きっと他の犬と仲良くなれる。
頑張ろう。
それでも、散歩に行くとこの笑顔♪
他の犬ともすれ違いましたが、そこまで問題はありませんでした。
ではなぜ、お客様とのお散歩ではパニックになってしまうのか?
何度も書いていますが、お客様である飼い主の緊張が、リードを通して伝わってしまっているのです。
前から犬が来る。その瞬間に「あ、犬が来た!」と人が身構えた瞬間に、それは即座にプリンちゃんに伝わり、警戒態勢に入ります。
前から来る犬だけに意識がいき、どんどん迫ってくる間に緊張は増していき、近くに来たときに我慢出来なくなる。
結果、パニックを起こす。
まずはその悪い流れを切ります。
プリンちゃんは体力があり、歩くのも早いです。
周りを気にしながら歩けば自然と緊張することが多くなります。
前を向いて、どんどん歩く。ただそれだけに集中すれば、スルー出来る可能性が高まります。
リズムが良い散歩は気持ち良いものです。
自然と笑顔になるプリンちゃん。
ただ、それは私と一対一だからですね。
お店に戻ると、他の犬がいるので元通り。
そこは自分で納得して乗り越えるしかありません。
初日終了。
2日目。
絶対に前に出ず、他の犬にもちょっかいを出さないリーダーの小次郎と一緒に散歩に行きます。
一緒に行く犬が興奮して、少しでも遊ぼうとしたり、ちょっかいを出されると、怖くて歩けなくなってしまうどころか、それをきっかけに歩けなくなってしまう可能性があります。
その点、小次郎は安心です(^^)v
近くに犬がいる、でも、小次郎はこちらを意識せずに前しか見ていない。
ちょっと怖いけど頑張って歩いてみよう!という意識になると、プリンちゃんは、一気に散歩に集中し始めました。
どんどん歩けば、どんどん自信が付いてきます。
折り返し地点まで問題なく来れました♪
プリンちゃん、お店の中では怖いと感じる小次郎が、散歩では逆に頼りになることが不思議なようで、ずっと小次郎のことを見ていました(笑)
どんどん、顔が近づいていきます(笑)
小次郎はやめろよー。といった表情!?
うん、プリンちゃん、それが犬に挨拶するってことなんだよー(*^^*)
プリンちゃんは自分が挨拶したことに気がついていませんでしたが(笑)
午後はトイプードルのみやびとフレブルのバロンと行きましたが、これはちょっと怖かったかな・・。
でも、今回の合宿は時間がありません。
焦るな!と自分に言い聞かせるも、ギリギリの線をいかなければ最終日には間に合わない感じでした。
ならばこのメンバーはどうか?
この日、トリミングに来てくれたUG卒業犬のトイプードルのミカエルとガブリエル♡
UGは先輩が後輩を育てるのがルール。
それは卒業した後も続きます。
ミカとガブも散歩中に他の犬にちょっかいを出すタイプではないので、一緒に行くことにしました♪
いい感じですね。
しかし、可愛いなぁ(*´ω`*)
代官山を通って、さらに散歩は進みます。
うん、今回は表情もしっかりしてますね!
このお散歩では、他の犬とすれ違っても全く反応しませんでした。
ただ、室内での犬への理解が全く足りていません・・
パワーはまだまだ有り余っているはずなのですが、我慢しているのが手に取るようにわかるのです。
あともう少しなんだけどな・・・
このままお家に帰していいのか。
確信はないけれど、もう少しで変われそうな気がする。
そんな悩む私に、お客様は合宿の延長を決めてくださいました。
嬉しいと思いながらも、どうしたらよいのか活路は見いだせず。
目の前でみんながいても反応なし。
じっと観察はしているのです。
何かのきっかけさえあれば・・
それでも、少しずつ変化が。
ん?
何してんの?
壁紙かじってる(笑)!!
それはダメ(笑)!!
てへぺろ❤じゃないよ(笑)
でも、昨日までには無かった行動です。
パワーを発散したいという気持ちは出てきているのです。
それが動かない相手の壁紙を剥がすという行動に繋がったわけですね。
今度は動く犬と遊んでみないかい?
頼むー、お迎えまでに自分を出しておくれ・・
延長した意味が無くなってしまう・・
そんな状況を打開したのは、年下のトイプードルのさんごでした。
他の子達の散歩に行っているときにさんごと遊び始めたとスタッフから連絡が!!
やっと来た!!
急いでお店に戻ると、ピタッと遊びを止めてしまいます。
お客様の要望は出来ればドッグランで遊べるようにしたいということ。
元々の気の強さと、体力があるので、きっかけさえ掴んでくれれば・・
他の犬の前で遊べなければ、当然、不特性多数の犬が集まるドッグランで遊べるはずがありません。
みんなと遊べなくてもいい。
せめて、みんながいる前でさんごと遊んでくれたら。
リーダーの小次郎とみやびは群れの和を乱す動きの多かったプリンちゃんに対して、それは違う、と注意をすることが多かったので、怖い存在になっていました。
でも、きちんとルールを守りさえすれば、むやみに注意はしてこないのです。
怖くないよ、遊んでごらん?
じりじりと、しかし、ゆっくりと流れていく時間。
遊ぶ瞬間は来ないのか・・
しかし、ついにそのときが!!
勇気を出して、ついに他の犬がいる前でも遊び始めました!!
間に合って良かった(´;ω;`)
こうなったら、後は体力はあるので、気の済むまで遊ばせます。
ずっと暴れたかった。
けど、周りに犬がいる状況で自分を出すのが怖かった。
その壁を自分で乗り越えました。
今まで我慢していた分、全部吐き出して欲しい!!
思う存分、さんごに思いをぶつけろっ!!
さんごなら受け止めてくれるよ。
子犬は子犬らしく。
暴れて当たり前。
遊んで当たり前。
噛んで当たり前。
それをしなかったり、うるさい、叱ってばかりいたり、しつけで押さえ込もうとした結果、成犬になってからある日、おかしくなる子がいます。
子犬の頃にずっと我慢していた思いが成犬になってから溢れ出す。
それを、飼い主をなめているだとか、リーダーになろうとしていると勘違いした飼い主が、鬼の形相で向かってきて、押さえ込み、支配しようとする。
犬からしてみたら、何が起こっているのか全くわかりません。
悪循環に陥り、結果的に犬が壊れ、飼い主との関係も壊れてしまい、楽しいはずのドッグライフが辛いものになってしまったというケースを何度も見てきました。
もちろん、全ての犬が問題を起こすというわけではありません。
ですが、今までに合宿に来た子犬で、飼育放棄寸前までいった子が何頭もいます。
今は笑顔ですが、それだけ子犬の社会化は大事なのです。
プリンちゃんがさんごと遊べるようになったことはそれだけ大きいことなのです。
本当に嬉しかったです。
パワーを開放出来たプリンちゃんの表情は、今まで上手く自分を表現出来なかった心の叫びのようにも思えました。
終わることのない遊び。
いつまででも見ていられました(*^^*)
笑顔が見えます。
固かった遊びも、慣れていくにしたがって、流れるような遊び方になっていきます。
小次郎も自然な遊び方であれば、むやみに間に入ったり、注意したりはしません。
「介入されずに遊べた」という事実がさらにプリンちゃんには自信に繋がっていきます。
きちんとルールを守っていれば、ここにいていいんだ。私を受け入れてくれるんだ。ということを学んだのです。
近くによれるまでになり、
注意されることを理解出来ずに、ただ怖いだけの存在だったみやびにも自分から挨拶いけるまでに。
初日からプリンちゃんに厳しく当たり、仲良くなるどころか、近づくのも無理なのではないか、と思っていたので、これは本当に嬉しかったですね。
プリンちゃんが変われば、みやびも体を預けます。
店長の涙腺は崩壊寸前。
良かった・・。
間に合って。
外の散歩のときにしか見ることの出来なかった笑顔がやっと見ることが出来ました。
どんどん表情も明るくなり、
さんご以外とは遊べませんでしたが、リラックスして眺めることが出来るようになり、
定位置だった隅っこから抜け出し、
私の行くところに、なにしてるのー?どこいくのー?と付いてくるようになり、それが可愛くて、可愛くて仕方がないのです(*´∀`*)
後は、お迎えを待つだけです!!
いい顔してます。
んべー。
そしてお迎えのとき。
まずは私が軽く歩いて、それからお母さんにリードを持ってもらいます。
「リードをピンと張らずにゆるめてくださーい♪腕の力を抜いてくださーい♪」
どうしても、合宿前の散歩の感覚はお客様にも残ってしまっています。
お客様が緊張しながら歩けば、プリンちゃんもすぐに元に戻ってしまいます。
それを歩きながら説明し、実体験してもらい、修正していきます。
それでも、基本的には難しいことはなく、やることはシンプル。
前を向いて真っ直ぐ歩く。
それで、プリンちゃんはきちんと付いてきます(*^^*)
「信じられない。」
「別の犬みたいです。」とお母さんも大喜び!!
この最終日のお客様と頑張った子犬の笑顔を見るのが毎回、たまりません♪
続いてはお父さん。
おぉ、リズムがいい!!
どんどん歩く!!
って、歩くのが早いっ(笑)!!
お互いにニコニコ笑顔で私とお母さんが追いつけないくらいのスピードでガンガン歩くお父さんとプリンちゃん。
お父さんと、他の方が被ってしまっていますが、この写真大好きです!
いいなぁ。
見ているだけでこちらも笑顔になってしまいますね。
これからは、いつ、どこから犬が来るか?といちいち考えないで散歩が出来るので、今までとは全く違う景色を味わってもらえると思います。
大好きな愛犬と楽しく散歩は本当に幸せを感じます。
犬ともすれ違うことが出来ました。
プリンちゃんの嬉しそうが強烈に印象に残っています。
本当によく頑張りました!!
大好きなお父さんの腕の中でリラックス☆
後日、お客様から、可愛いプリンちゃんの写真とともに、プリンちゃんの近況を教えていただきました(*^^*)
まずはお母さんから
■以前
お散歩の時に、他の犬が寄ってくると、もの凄いスピードで逃げていました。
逃げ腰なのにメチャクチャ早く、周りの自転車などにあたって大きな事故になりそうだと感じていました。
■現在
スルーする事を覚え、また、以前よりは自ら寄って行くようになりました。
ジグザグ歩行距離や、グイグイ引くこともなくなり、安心して歩けます。
それにプリンが、とっても楽しそうにしています。
お父さんからも嬉しいお言葉をいただきました。
「散歩について
以前は、私の前を歩く為、後ろをくっついて歩くのが犬の散歩だと思い込んでいました。
プリン自身を踏んでしまったり、力任せでリードを引っ張っりと、お互い楽しくなかった時間もありました。
お陰様で、合宿後は、散歩中、プリンの笑顔の回数が格段に増え、リードもたるんだ状態で持つ事が出来、一緒に散歩している感じがハンパではありません。
ありがとうございました。」
こちらこそありがとうございましたm(_ _)m
プリンちゃんは合宿に来ることによって、本来プリンちゃんが持っている明るさを取り戻しました。
社会化が上手くいかず、ドッグランで決定的に心と体がズレて、ミスマッチを起こしていたのを、上手くマッチングさせただけなのです。
うちの子は怖がり。
ダメな犬。
バカ犬。
果たして本当にそうなのでしょうか?
人が変われば、犬も変わります。
お客様も自信を持って、これからプリンちゃんと向き合い、笑顔がたくさん生まれるドッグライフを送っていただきたいと思います。
途中でまたわからなくなってしまったり、成長の過程において、ズレが生じたならば、また私とUGチームの群れのみんなが元に戻します(#^^#)
プリンちゃんは、合宿に来なければ、この先ずっと犬に怯えながらのお散歩になっていたかもしれません。
まだ成長の過程なのでわかりませんが、これから先、もしかしたらドッグランでは遊べないかもしれません。
それでも、大好きなお母さんとお父さんと笑顔でお散歩に行けるようになっただけでも、プリンちゃんは幸せだと思います。
これから先もずっと楽しく。
最後にいつもの一言を。
やっぱり犬って最高なのです!!
プリンちゃん、これからたーくさんお父さんと、お母さんと色んなとことにお出かけしてね。
本当に良く頑張りました。
また遊びにおいでね。
ありがとう。