噛みついて、子犬なのに手放せと言われたコーギー。

先月の岡山、香川の出張カウンセリングの最後に出会った生後7カ月のコーギーのまめくん。

岡山、香川遠征のカウンセリングが満員になろうとしている中、お客様から連絡をいただきました。

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生後7ヶ月のコーギーを飼っています。うちに迎えて3ヶ月が経ちました。

人に唸ることや噛み付くことがだんだん増え、ドックトレーナーさんにお願いしてトレーニングを始めたのですが、今日のトレーニングの後、この犬は危険すぎるので手放す方向で家族と相談した方がいいと言われてしまい、トレーニングは打ち切りになってしまいました。

うちには子どももいるので、子どもが噛まれたりしないかと不安や恐怖もありますが、私たちにとっては可愛くて大事な家族です。
どうしたらいいのか、どこに頼ればいいのか分からず悩んだ末にこちらに質問させていただきました。

突然のメッセージで失礼しますが、お返事をいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いします。

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手放せとは穏やかではないですね。

お客様に、普段のまめくんの動画を送ってもらいました。

うん?このレベルで手放せなんて言われるの??

その動画は、お客様の息子さんに飛び掛かってじゃれるものでした。

店長は、写真や動画を見れば大体、その子がどういうタイプか何となくわかることが多いです。

まめくんはおそらく、我慢できなかったり、興奮したり、自分の思い通りにならなくなった瞬間に豹変して噛みつくのでしょうね。

本当にヤバい子は子犬でも、目や雰囲気、オーラがめちゃくちゃになっているものです。

でも、まめくんは子犬らしく甘えてじゃれる時はあって、常にピリついているわけではありません。

成犬ならいざ知らず、噛むからと7カ月の子犬を危険だから手放せとは何事か。

2日目の香川の最終のカウンセリングに来てもらうことにしました。

いざご対面。

カウンセリングで確かに店長を噛もうとしました。

お母さんは不安なのか最初からずっと泣いています。

私は、お客様がまめくんを飼い始めてから今に至るまでまとめてくださった資料を読みました。

読んでいるだけでこちらがドキドキしてくるような緊張に満ちた5枚にわたる資料。

そこに書いてあったプロによるズレたしつけ方法とアドバイス。

なんですか、サークルから1週間出さずに散歩も無しとかいうアドバイスは・・・

いつも書いていますが、生後6ヶ月までの子犬の1週間って特に大切なんですよね。

それをサークルに閉じ込めて散歩もするなって私は考えられないですね。

可哀想に。

そして、店長が激怒する文面が。

・自宅で飼うことは危険すぎる

・大きな事故が起きる前に手放した方が良い

・ペットではなく猛獣

・これも経験のうち、手放す方向で話しを進めなさい

何言ってんだこいつ??←本音ダダ洩れ

どんな経験なんだよ。

手放すってどういうこと?

保健所に連れてけってこと?

まめくんが死んでもいいってこと?

そうならないようにアドバイスするのがプロなんじゃないの??

何を考えてんだ。

こんなんで手放せとか言ったら、UGだったらどんだけ手放さなきゃいけない子犬がいるんだよ。

アホか。

ふざけんな。

「お母さん、東京に連れて行きますね。明日、一緒の飛行機で東京に帰ります。もう大丈夫なんで。」

それでもお客様は「店長さんが噛まれたら・・・」と泣きます。

(今回の記事は怒りのあまり汚い言葉遣いが多くなります。ご了承ください。)「お母さんさ、まめに噛まれて私は死ぬの?死なないですよね?噛まれたからなんだっつーんだよ。そのトレーナーさんも襲ったんですよね?血が出るくらい噛んだんですか?」

「いや、リードを持ってたので噛まれてはいないです。」とお客様。

「なんだそれ。言った本人が血まみれになって何針も縫ったとかならわかりますよ。

自分が噛まれてもいないのに手放せとかただの逃げじゃないですか。

超ダサいっすね。

噛み犬が直せないのはまだいいです。

手放せって何なんだよ。

あのですね、料理人って包丁使うじゃないですか?例えばそれで手を切ってケガしたとして辞める料理人っているんですかね?

大工さんがとんかちで自分の手をぶったたいてケガして大工辞めるんですか?

うちはそれも含めてのお預かりの料金なんですよ。

プロなんで。

プライド持って仕事してるんで。

改善出来るなと思ったら、噛まれたってやりますよ私は。

ただ、生後6ヶ月を過ぎているので、1週間で絶対返せるとは言い切れないです。返す日はこちらが決めます。それでもいいですか?」

不安だったお客様、ほっとしたのか号泣。

UGには噛む子がたくさん来てます。

店長はしょっちゅう噛まれます。

痛いです。

怖い時ももちろんあります。

でも、一般のお客様はもっと怖いじゃないですか?

プロが逃げてどうするんだよ。

諦めるのは簡単です。

表面だけの上っ面のトレーニングしかしてない。

本気でこの子にぶつかった人間はいたのか?

正しく導いて、理解してくれる人間はいたのか?

ダメなことはダメだと教えてくれる人間はいたのか?

いないですよね。

いないからこんなことになってる。

まめくんが噛むのはなぜか?

甘やかしてるからです。

ルールが無いからです。

私のトレーニングが全て上手くいくわけではありません。

私のお預かりは、基本的には生後6カ月未満の子犬をメインとしています。

カウンセリングで6カ月を越えて正直、1週間のお預かりではキツい子犬もいます。

その場合は、1カ月の長期で預かってくれる信頼しているところを紹介したりします。

なので、いつも早く来てください。と店長はお願いしているのです。

まめくんは生後7カ月。

1週間では間に合わないかもしれません。

それでも、私が断ったらどうなるんですかね?

やるしかないでしょう。

店長もコーギーのジャックを飼っていました。

コーギー大好きなんですよね。

見捨てるわけにはいかないでしょう。

連れて帰ります。

例え噛まれても、ルールを店長が教えます。

中目黒に一緒に帰ろう。

翌朝、早朝の飛行機で一緒に東京に帰ってきました。

次のイベントで名古屋に向かわなくてはいけないのに、私とまめくんを中目黒まで車で送ってくださった福井さん、本当にありがとうございました。

福井さんは、UGでもお馴染みの乳酸菌生成エキスのコスモスラクト、人間用の智通のメーカーさんです。

コスモスラクトと智通はどんなものかを書いた記事のリンクを貼っておきます。↓↓↓

乳酸菌生成エキスの勉強会、工場見学に静岡に行ってきました。

中目黒に到着。

お腹が空いているでしょうから、早速ご飯を与えます。

今までは、ご飯やおやつ、食べ物が絡むと噛むということでした。

もちろん、店長は噛まれるのを覚悟でいつものように、伏せ、待て。をさせて、こちらの目を見ていただきます。をしてから与えるようにします。

この瞬間が緊張するけれど決して嫌いではないクレイジーな店長。

ヒリヒリするこのやり取りで、もちろん不穏な空気は流れましたが唸ることなく伏せ、待てが出来て、ご飯を食べたまめくん。

仕事をしなさい、仕事を。

コーギーは元々、牛追いの仕事をしていて、とても気が強く、頭が良く、タフです。

お客様にお願いしたことは、まめも変わってお家に帰ってくるので、お客様も意識を変えてくださいということです。

コーギーは愛玩犬ではありません。

UGの群れのメンバーはみんな強いです。

群れのメンバーにビビりまくるまめくん笑

これから最低でも一週間バチバチにやり合おう。

君が産まれてから最もハードでイカれてるけど、楽しい一週間にしよう!!

初日からガンガン追い込みます。

複数頭でのお散歩。

あれー、おかしいな。

手放した方がいいらしい猛獣が初日から笑顔でルンルンでお散歩してるー

あれー、おかしいな。

手放した方がいいらしい猛獣が、初日の一発目の脱力を受け入れて噛まないー

あれー、おかしいな。

手放した方がいいらしい猛獣が満面の笑みですぐに懐いてくれてるー

店長、お客様のザクザク噛まれている写真を見ていたので、嫌がることをしたら噛まれまくると思っていたので、拍子抜けと怒りと悲しさと。

こんな子が、もしかしたらプロのアドバイスによって命を落としていたかもしれないという事実。

このブログでも何度も書いていますが、最初から噛みたくて噛む犬なんてほとんどいないんですよ。

噛むからダメ。

吠えるから悪い犬。じゃなくて、なぜそういうことをするのか?を考えてあげることが大切だと思うのです。

人が変われば犬も変わります。

理解されずに誤解されていれば傷付いて荒れる子犬がいても当然だと思います。

それでも、夕方に柴犬のカウンセリングがあった時に事件は起こりました。

強い子犬を目の前にし、一気に緊張が高まるまめくん。

それを見てリーダー犬のポメラニアンのなっぱと、次期リーダー候補の羊・・・じゃなくてトイプードルのジーニーが「おい、やめとけよ。」と注意すると、突然うるせーんだよ!!とジーニーに本気でぶちギレました。

これかー。

カウンセリング中の柴犬のお客様に「ちょっとコーギーを注意していいですか?」とお断りし、絶好調にイキってるまめくんの元へ。

「おめー、何してくれてんの?来て数時間でなに調子こいちゃってるわけ?新人のおめーが出る幕なんてないから。UG舐めてんじゃねーぞ。わかったか?」

もちろん、誰に注意してんだ!!と私に歯を剥いて噛もうとしましたが、店長の本気の叱りに意気消沈。

やる時はやらないと群れがめちゃくちゃになります。

これを見逃したら、平気で弱い子をやり始めるかもしれません。

ルールも知らない強いだけのまめくんが群れをまとめたらめちゃくちゃになります。

それをご家族とトレーナーにやっていただけです。

ならそれは違うよと教えてあげればいいだけです。

なんでもかんでも優しくすればいいってものではないです。

なんでもかんでも厳しくすればいいというものでもないです。

別に私は、リーダーうんぬんは興味が無いんですよね。

人と暮らすにあたって、ルールを覚えてもらえればそれでいいのです。

人を噛んではいけません。

犬も噛んではいけません。

無駄吠えもいけません。

ハウスで落ち着いていれるようにしましょう。

当たり前の事を1つ1つ教えていけばいいだけです。

まめくんはUGのカテゴリーでいうと「管理者」です。

常に緊張感を持って周りを見張り、違う動きやそれは違うぞ。と思ったら躊躇なく噛む。

うん、うちらは牧場の牛じゃないからね笑!?

今まで付いたクセと思い込みがあるので、興奮や緊張が高まればまたやるでしょう。

何度でも教えます。

そこから、興奮して店長から指導が入ることもあるものの、バチバチにやり合える友達も出来ました。

柴犬の小太郎くん。

うちに来る柴犬には珍しく攻撃性は無いけれど、体力底無しの超アグレッシブな男の子。

お家でパワーを持て余し、家族を管理し、謎の自信を持っていたまめくんを遊びに誘い出し、そこに待っていたのはエンドレスの遊び。

ガンガン削られる体力ww

小太郎くんにはまめくんを負かしてやろう。とか、お前に勝ってやる!とかそういうのは無く、ひたすら遊ぼうよ〜♪と誘ってくるので、まめくんは怒れない笑

怒れないけれど、もういいよ。と思っても延々と続く小太郎くんの遊び。

小太郎くんはUGのカテゴリーでいうと「クラッシャー」ですが、悪意なきナチュラルクラッシャーという珍しい部類でした笑

小太郎くんとの出会いは相当大きかったですね。

今までくすぶっていたものを全て燃やし尽くして昇華していくような。

東京と徳島。

交わる事の無いはずの2頭が親友になれました。

出会うべくして出会ったのでしょう。

人と人の出会いで縁があるように、犬と犬の出会いにも縁があると私は信じています。

みんなでお散歩に行って、

ピリピリ感はどんどん減って、

表情も穏やかになっていきました。

複数頭での待て。はお客様からは信じられない光景だったでしょう。

人も犬も襲わないで待てが出来るなんて!!と。

みんなと一緒にお昼寝が出来るようにもなりました。

そして、9泊してお迎えの日。

この子の性格からして、お母さん達ご家族がいたら、私に仕掛けてくるのではないかな?と予想していました。

案の定、お母さんの足元に行った直後に、私に唸りました。

お家でも、ご家族の前でトレーナーを襲っていましたからね。

はいきたー。

初日よりも、キツいお灸を据えられるまめくんと、この人ヤバい・・・とドン引きするお客様ご家族。

でも、徳島に店長はいませんので。

まめくんは強いです。

可愛いだけでは飼えません。

溺愛したらまた管理者が復活するでしょう。

リーダーにならなくてもいい、迷わないようにまめくんを導いて欲しいのです。

お散歩の仕方を細かく伝えます。

お散歩はこの子にとって大切な仕事になります。

ご飯もきちんと出来ました。

それでも、やはり緊張が強いお母さん。

そんな時、まめくんを飼いたいと言った張本人の次男君にリードを持たせたら、あら上手。

力みが無い。

恐れが無い。

疑いも無い。

なんだこの子は。

噛まれた場合、どうしてもご家族の皆様には疑いや恐怖が出るものです。

でも、この子にはそれが無い。

素晴らしいです。

プロでもなかなかこの空間は作れません。

ある種の才能と、やはり優しさですねー。

でも、優しいだけでなく、威圧的にしなくても犬を落ち着かせるオーラがあります。

すごいな。

本当にまめくんのことが好きなんだね。

「君は将来の夢はなに?」と店長が聞くと、「こういう仕事がしたいです。」と。

是非なって欲しい。

10年後、店長の部下になってたりして笑??

それか、地元の困ってる飼い主と、理解されずに誤解されている犬を救うプロになってもらいたい。

お母さんのこと助けてあげてね。

こうして、まめくんは車で徳島へと帰って行きました。

お家に帰ってからも店長のアフターフォローは続きました。

やはり、どうしても今までの負の遺産は残っているので、まめくんもお客様も戸惑うことはありますが、

先日、お母さんからこんな嬉しいご報告がありました。

今回、岡山、香川の遠征が無かったら、私はお客様と出会わなかったかもしれません。

本当に行って良かったです。

そして、もっとこの業界はレベルアップしていかなければならないなと思いました。

だって、結局私はまめくんに一度も噛まれなかったわけですから。

理解者がいなかっただけです。

みんなの言うこと聞いて立派なコーギーになってね。

ピリピリしてるよりも、そうやってコーギースマイルしている方が楽しいから。

またいつか会えたら嬉しいな。

ありがとう。

お客様とまめくんのお役に立てて良かったです。

これからもお客様とその愛犬の笑顔を見るために精進していきたいと思います。