2013年9月施行の改正動物愛護法、変更点のポイント

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2012年8月に閣議成立した「動物愛護管理法」の改正点についてピックアップをしながらポイントを解説したいと思います。

終生飼養の徹底

動物の所有者の責務として、動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)が明記されました。
動物取扱業者の責務に、販売が困難になった動物の終生飼養を確保することが明記されました。

法律に理念として明文化されたことは素晴らしいことか思いますが、明記されたところで責務を放棄する人が全うすることにはならないと思いますので、あくまで明文化されたことに意味があると考えるべきでしょう。

都道府県等は、終生飼養に反する理由による引取り(動物取扱業者からの引取り、繰り返しての引取り、老齢や病気を理由とした引取り等)を拒否できるようになりました。

拒否したところで、別のところに捨てられる可能性が高いように思いますが…。罰則の強化などを組み合わせなければ更によくないケースが起こることが想定されそうです。

動物取扱業者による適正な取扱いの推進

2006年6月1日施行の「改正動物愛護法」によりペットショップなどの動物を取り扱う団体に対して「動物取扱業者」登録が義務づけられました。その部分の改正になります。

これまでの「動物取扱業」は「第一種動物取扱業」という名称に変更されました。飼養施設を有し、一定数以上の動物を非営利で取扱う場合(譲渡・展示等)には、第二種動物取扱業として届出が義務付けられました。

改正前の「動物取扱業」は、犬猫等販売業を営む団体への義務付けでしたが、これが「第一種動物取扱業」へ変更され、NPOや愛護団体などの非営利団体を対象にした「第二種動物取扱業者」が新設されました。保護団体の中にも自身のキャパシティをオーバーする保護動物を抱え込みトラブルになるケースもあったかと思いますので、政府機関が各団体の情報を持つことで何か問題が起こった時の迅速な対応もしやすくなるかと思います。

犬及び猫を販売する第一種動物取扱業者(犬猫等販売業者)は、犬猫等健康安全計画の策定、個体ごとの帳簿の作成・管理、毎年1回の所有状況報告が義務付けられました。

状況報告が正しいものなのかチェックする体制が必要になりますが、そのあたりが今度しっかりフォローされるのかが気になるところです。

第一種動物取扱業者(哺乳類、鳥類、爬虫類の販売を業として営む者)は、販売に際してあらかじめ、購入者に対して現物確認・対面説明をすることが義務付けられました。

交通の便が悪いけど広大な土地でブリーダー業を営んでいる方など、空輸での販売をしている方にとっては死活問題となり、一方でペットショップなどの対面販売をしている方にとって大きなメリットが有る規制です。

対面販売をしたからトラブルが少ないとはならないと思いますし、空輸など対面を伴わない販売者が全て問題を起こしているのかといえばそうでもないかと思います。国の規制で突然廃業に追い詰められるケースが想定されるこのような規制については客観的なデータに基づいて決めるべきかと思いますが、どのようなデータを元にこの規制を決めたのかを開示して欲しいところです。

幼齢の犬猫の販売制限が設けられました。生後56日(平成28年8月31日までは45日、それ以降別に法律に定めるまでの間は49日)を経過しない犬及び猫の販売又は販売のための引渡し・展示は禁止されます。

子犬は早い段階で母親から引き離されるとその子犬の社会化に悪影響を及ぼすとされていますので、よい規制ではないでしょうか。

罰則が強化されました。

罰則が以下のように強化されました。

  • 愛護動物の殺傷:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金→2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
  • 愛護動物の虐待・遺棄:50万円以下の罰金→100万円以下の罰金
  • 無登録で第一種動物取扱業を営んだ者:30万円以下の罰金→100万円以下の罰金

我々からしてもとても好ましい改正かと思います。また、ペットに関心がない方でも、凶悪犯罪者が動物虐待の経験がある者が多いとされているため、凶悪犯罪の抑止にもつながるものかと思われます。

最後に

大幅な変更があった「動物愛護法」ですが、概ねよい変更が多い改正案であったかと思います。今後も時代の流れに合わせて改正がされるかと思いますが、今後特定の団体とのつながりを重視した法改正などが紛れ込まないか、事業者、消費者共に目を光らせていく必要はあると思います。

法改正の内容については、下記を引用致しました。
動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました

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この記事の筆者

吉武 雄史UGpet Inc. 代表取締役社長

小学校の卒業文集に「ペットショップの店長になりたい」と夢を記し、20歳となり1年間アルバイトをして貯めた資金を元手として、明治大学在学中にUGペットを創業。現代表取締役社長を務める。愛犬はトイ・プードルのくるみとミニチュアダックスフントのビビ。ZENペットフードの開発者です。

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