ペットショップから子犬を迎え、多頭崩壊。

ある日、同業者の先輩から連絡がありました。

共通のお客様の事で相談があると。

そのお客様は、以前に私のカウンセリングを受けていただいた事があり、その時は3頭飼われていました。

その時は特に大きな問題は無かった様に記憶しています。

しかし、今回お話しを聞いたらそこから数年で10頭近くに増えてしまっていると。

えー!?どういう事ですか?とお聞きすると、最初に飼ったペットショップから売れ残りの子が出ると連絡がきて、お店に行くとどうしても可哀想になって引き取る事を繰り返すうちに今の状態になってしまったと。

お客様は本当に優しい方で、押し切られるように迎え入れてしまった様です。

そもそもなんですが、そのペットショップも普通に考えたらお客様があっという間にキャパオーバーになるというのがわからないんですかね?

命を天秤にかけて、私が引き取らなかったらどうなるのだろう…。と不安にさせて、引き取らせる。

ハッキリ言ったら脅しをかけているのと同じに思えます。

周りからすると、冷静に考えればそんなバカな。もう飼えませんと断ればいいじゃないか。と思われるかもしれません。

でも、ペットショップの店員はお客様が断れないタイプだとわかってしつこく声をかけてきたのだと思います。

高橋くんはどう思う?どうしたらいいと思う?と聞かれたので、私は「普通に飼える頭数まで減らしましょう。新しい家族を探しましょう。今のままでは何年後かには総崩れになる可能性があると思います。」と提案しました。

よく一旦家族として迎えたなら、絶対に終生飼育しろ!無責任に手放すな!という意見があります。

私も数年前までそうでした。

犬を飼いきれない人、きれなかった人に腹が立ち、怒りをぶつけていました。

しかし、ある先輩から「高橋くんさ、人間も結婚して3組のうち1組は離婚する時代なんだよ?私は犬と人との相性ってあると思う。高橋くんはその辺りはわかるでしょ? 責任も感じず、適当な飼い主ならともかく、高橋くんの所には本気のお客様しか来ないでしょ? あなたを頼って来ている訳で、人も犬も相性がわかる高橋くんが、次にその子と合う縁を繋げてあげたらいいじゃん。うちらだって明日絶対に死なないなんて保証は何も無いんだよ? 何か訳があって手放す人を責めても何も変わらないと私は思う。」という言葉を聞いてからそんな考えがあるのか!と。

ペットショップなどでよし1年後に手放そう!と思って子犬を飼い始める人っていないと思います。

でも、何かが原因でお互いに一緒に住めなくなってしまった。

それは、その人にしかわからない理由があるかもしれません。

そして、手放す原因の一端を担っているのが、残念ながらペットショップである事が非常に多いのです。

体が小さいのでお散歩はほとんどいりませんよ。するにしても週に2~3回でいいですよ。

1日20時間は寝ているので、誰でも子犬は飼えますよ。など、時代遅れの売れればそれでいいと言わんばかりのセールストークが令和のこの時代においてなお通用してしまっている事実。

子犬って手がかかるんです。

朝起きたら、しっこまみれ、うんこまみれなんて当たり前で、留守番どころか飼い主がトイレに行くだけでどこに行くのー?って吠えちゃう子だっている。

体が小さくとも全く疲れ知らずで、きちんとお散歩や運動や遊びで満足出来ないとイタズラしたり、人の手を噛んでしまったりする子がいます。

でも、それらを根気強く色んな事を教えて共に暮らしていくようにするのが犬を飼う事だと思っています。

命を舐めるな。

犬を舐めるな。と歯がゆい思いにいつもなります。

また脱線してしまいましたが、私はこのお客様もある種の被害者であると思いました。

お客様は泣いていました。

仕事から帰ってきて、夜中に数時間かけてお散歩に行く毎日。

当然、近所からは吠え声などで、厳しい目で見られます。

次第に昼間はお散歩に行けなくなるまでに…

そんな生活はあまりにも悲しすぎます。

そんな時、前のお店のお客様から久しぶりにLINEがきました。

高橋くんから引き受けたフレンチブルドッグの子が天国にいき、最後にもう一度飼うフレンチブルドッグの子犬を高橋くんに探してもらいたい。と。

わかりました。と返事はしたものの、私も忙しい日々もあって、なかなか子犬を探す事が出来ずにいました。

今回の件で、お客様が直ぐに頭に浮かんで、理由を説明し、子犬では無いけれど10頭近くいる子達の中でも特にハイパーなフレンチブルドッグを家族として迎えていただきたいのですが。お客様でないとこんなお願いが出来ません。とお願いすると、「高橋くんのお願いならいいわよ。」とお客様。

それでもなお畳み掛ける図々しい高橋。

「特にハイパーな子2頭お願いしたいのですが。」とお願いすると、超大型犬を飼われていたお客様は高橋くんからのお願いなら仕方ないわね。連れてらっしゃい。と仰ってくださいました。

店長はフレンチブルドッグのボルドーを飼ってました。

フレンチブルドッグ大好きです。

でも、飼いやすい犬種とは決して言えないと思っています。

飼った人にしかわからないフレンチブルドッグの魅力。

次に飼う方で、こんなハズでは無かったを絶対に防ぐために、絶対に幸せになってもらうために、大型犬、フレンチブルドッグの飼育経験者であるお客様にお願いしました。

そこから、急ピッチで話しは進み、お客様が飼われている中でもハイパーな2頭が店長の信頼出来るお客様の元へ旅立ちました。

店長もそうですが、ハイパーな犬、強い犬って大変な部分もありますが、2頭とも頭が良く、リーダー気質がある子です。

お客様ならきっとあの子達の性質を理解して愛してくださるという自信がありました。

新しい家族となったお客様は、いつでも会いに来てくださいね。と仰ってくださいましたが、手放したお客様は、行きたい。とは言いつつも会いに行かない日々が続きました。

半年以上が経って、昨日、元のお客様からやっとあの子達に会いに行けました。とLINEが来ました。

手放してはしまったけれど、元の飼い主としてギリギリまで何とか飼えないか?と考えていたお客様。

自分を責め、会いに行く事で先方に迷惑をかけたらどうしよう。

万が一、思っているのと違う飼われ方をしていたらどうしよう?と怖かったそうです。

でも、このうるさい店長がこのお客様なら間違いない。と選んだお客様なので、会ってもらえればわかっていただけると思いました。

新しいお家で大切に飼われ、幸せそうに暮らす2頭を見てホッとしたそうです。

残った他の子も、お客様のお友達や知り合いの方で我々もアドバイスをさせていただいて、新しい飼い主とその子に合う子を提案させていただいたりで、新しい家族とお家がどんどん決まり、お客様自身も引っ越しもして、今は地域の周りの方に残した子達も可愛がられながら普通に生活出来るようになったとの事です。

そんな嬉しいご報告を聞いた昨日は、他にも心揺さぶられることがありました。

昨日まで社会化お泊まりだったボストンテリアの秋太郎くん。

お迎えにいらしたお客様から渡されたもの、それは、

オレンジのダリアでした。

え?どういう事?となっている店長にジャックくんの命日ですよね。とお客様。

危うく号泣する所でした。

店長とジャックさん、ぽっかぽか燦々の絆のイメージなので、1番太陽みたいなお花を選びました!と。

お母さん、1週間もの秋太郎くんを預けている間、色んな事を考え、お家に帰ってきたらどうしていくか?と店長ブログを見て、復習したり、勉強する中で、ジャックのお別れブログを見て命日だと知ってくれたようです。

ものすごく嬉しかったです。

ジャックもきっと喜んでいたはずです。

秋太郎くんも、1週間前はピリピリしてお客様に噛み付いていました。

もちろん、最初は店長にも噛み付こうとしていましたが、そんなものは通じず、犬同士の群れで遊び、学び、店長に愛という名のもとにいじり倒されてお家に帰りました笑

秋に生まれた秋太郎くん。

実りある生涯になるようにと名付けられた素敵な名前✨

その名の通りになるに決まってます👍

昨日、お迎えにいらした時に脱力をし終わった後に、まだ話しがあったのでお父さん抱っこしておいてもらっていいですか?と言うと、私だと嫌がるんですよね。と笑

あ!そう言えば初日の時にもそんな事言ってましたね。

んな訳あるかーい笑!!

遠慮なくギュっと抱き締めてやってくださいよ。

遠慮は無用。

優しいと甘いは違うのです。

秋太郎くんはお父さんに抱っこされて、暖かい腕とダウンジャケットに包まれて、イビキをかいて熟睡しました。

リーダーになれ!とは言いませんが、頼れる飼い主に、導いてくれる飼い主になれたらいいですね。

そんな感じで長い1日が終わりました。

カウンセリングの所にダリアを置いていたら、暖房の風で直ぐに枯れてしまいますよ。とスタッフがお水の容器に入れてくれました🥰

わー、駅前のイルミネーションも相まってめっちゃキレイ。

閉店後の店内でダリアを眺めながらジャックを思い出しました。

あれから5年。

天国で元気にやっとるかー?

しんみり。

数十分が経った頃、ロイスが鼻をツンツンして、おれがいるぜ。家に帰ろう。となって、ハッと現実に戻る店長。

そう、今の私にはロイスがいる。

いつも書いていますが、プロである前に私は愛犬家でいたいと思っています。

もっと1つ1つの命が大切にされれば、悲しい思いをする事が減るはず。

これからも自分達が出来ることをやっていきたいと思います。

人と犬の幸せのために。