大切な先輩との出会いと別れ、店長の原点。

昨日、InstagramとFacebookに投稿しましたが、尊敬する先輩である、下北沢のsoup*spoonの小島麻里さんの葬儀に参列してきました。

カリスマトリマーという言葉はまりさんから始まったと思います。

本人はカリスマトリマーと言われる事を嫌がっていましたが、カリスマはカリスマなのです。

テレビ出演、雑誌もまりさんが考案したカットが掲載される度に全国のトリマーや、カット犬種を飼っている飼い主は胸をときめかせながら本を眺めておりました。

トリマーである事に誇りを持ち、カットコンテストの審査員をしたり、後世育成のためにセミナーなどをしたり。

それでいて、ペットカットだけ、ペットだけって言われるのが嫌だ。とドッグショー、カット競技会、訓練もするなど、小さな体の何処にそんなバイタリティがあるんだ?といつも思うくらいでした。

まだまだ、まり伝説は続きます。

激務で忙しいのに、困っている犬猫を見ると、理性を忘れるくらいに私が助けてあげる!!と直ぐに行動して助けた犬猫は数知れず。

マリゴロウなんてみんなに呼ばれるくらいに犬猫への愛が本当に凄かったんですよね。

厳しく、怖い事もありましたが、それだけの事をやっていた人でした。

今もよくカリスマなんたらとかよく言われる人がいますが、このペット業界においてまりさん以上のカリスマは私は出て来ないと思います。

それくらい、ペット業界において一時代を築き上げた人で、それは同業者でも異論は無いはず。

レベルが違うので。

血のにじむ努力をして、昭和のど根性で勉強して、ロックな方でしたから。

まりさんの事は20年くらい前から雑誌や本などで見ていて、知っていて、実際にお会いしたのは何かのイベントで10年くらい前でしょうか?

あ、本に載ってるこじまりさんだ!と舞い上がり、ドキドキしながらお話ししたのを昨日の事の様に覚えています。

そこからは、ご飯会などでお会いしたり、店長も途中からUGで社会化お泊まりなどをする様になってから、直接のやり取りが増えて、仲良くさせていただくようになりましたが、それでもなんでこんなに仲良くさせていただいていたのだろう?と昨日も泣きながら考えていました。

昨日はもう泣きすぎて頭が痛くて、今朝起きて、Facebookを開きました。

Facebookって過去の思い出がありますよね。

今はFacebookは全くと言っていいほどやっていないのですが、この過去の投稿だけは毎朝見るようにしているのです。

そこにあったのは、8年前の投稿でした。

店長が自分の責任で初めて飼った、コーギーのジャックの誕生日の投稿でした。

恐らくですが、自分の投稿で1番いいねをもらった投稿なのかな?と。

今は店長もそこそこ名が知れる様になってきましたが、UGが始まった頃は誰も私の事は知りませんでした。

代表から、これからはSNSの時代だから、Facebookをやりなさい。と業務命令されなければ絶対にやっていなかったと思います。

しかし、やるとなったら、自分が宣伝広告になるくらいに中目黒駅前にクレイジー高橋ありと言われるくらにやってみよう!と、怒涛の投稿を繰り返し、その結果、なんか中目黒に変なやつがいる、おかしなやつがいると話題になり、そこから縁がどんどん繋がっていって、まりさんとも出会えたのかなと思います。

ここ最近は盛岡から来たシュナウザーののあちゃんがきっかけで書けるようになりましたが、ここ数年はなぜかブログが書けなくなっていて、忙しいからだ、ウェブ連載のsippoがあるからと自分に言い聞かせてはいましたが、ブログの下書きをしてはこんなんじゃダメだ。面白くもないし、熱くもねえ。とゴミ箱に移動する事の繰り返しでした。

お客様は店長ブログを待ってくださっているのに、なぜか書けないジレンマ。

昨日のまりさんの葬儀に参列し、今朝、ジャックの投稿を見て、やはり私は燃えていかねばならぬ。と決意を新たにしました。

そんなクソ熱い投稿を決意表明として、そのままこのブログに転載します。↓↓↓

今日で13歳になったジャック。

自分がジャックを迎えた経緯は決して褒められたものではない。

ジャックに初めて会ったのは、たまたま行った大手のペットショップだった。

最初に見たときは生後2ヶ月だった。

次に見たときは、ケージの外のワゴンセールに、他の子犬と一緒に出されていた。

ワゴンセールにいた他の子犬は、生後4ヶ月を越えた子達、コーギーはまだ3ヶ月にもなっていない。

大体、外に出されるのは生後4ヶ月を過ぎている大きな子が多いのに、なんでこんなに小さな月齢でワゴンセールに出されてるんだろう?と思って観察していると、その小さなコーギーは、おそらくアレルギーがあり、下痢をし続け、栄養失調からくる発育不良と、皮膚病をおこしていた。

この子はどうなるんだろうって気になって、(今思えば、まんまとその店の術中にはまっていたことになる。)1ヶ月以上、毎日悩んで悩みまくった。

下痢ばかりで世話がめんどくさいから早くワゴンセールで売ってしまえという感じだったのだろう。

サークルの中にはマルチーズとチャイニーズクレステッドドッグがいて、この子達はとても元気で、人が来ると撫でてほしくて、こちらに飛び付いてきて、マルとチャイクレは常に一緒に遊んでいた。

かたやコーギーはいつも同じ場所にいた。

サークルの真ん前で、いつも真っ直ぐ前を向いて、誰かが話しかけても全く反応せずに、とにかくずっと前を見ていた。

コーギーがマルとチャイクレと遊んでいる姿は見たことがなく、ずっとサークルの真ん前でひたすら前を見ていた。

体は弱そうだけど、心は強い。

人が嫌いだったり、心が弱かったら、サークルの前面にはおらず、奥で丸まったり、震えたりしているはず。

弱くはない、でもどこか諦めている。

そんな感じに見えた。

いつの間にか、この子の強い目に牽かれている自分がいた。

飼いたい気持ちが抑えきれず、何度も見に行っていたある日、そこの常連と思われる女性が「ホントこのコーギーいつ見ても愛想ないわよね、撫でても反応しないし、こっちの目も見ないし。誰も飼わないでしょこんな子。」とコーギーに言い放った一言を聞いた瞬間に飼うことを決めた。

高橋スイッチON\(^^)/

あの一言は絶対に忘れない。

絶対にあの女性を見返すくらいにいい子に育てる。

おい、お前外に出るぞ。

色んな所に一緒に行こう。

色んな人と色んな犬に会って、色んな景色を一緒に見よう。

いいフードを与えて、キレイにして、しつけをびっちり入れて誰からも愛される犬に育ててやる。

子犬を飼ったことを師匠に報告しなければいけなかった。

心臓が飛び出すんじゃないかというくらいにバクバクしながら、おそるおそる電話をした。

私「すみません、子犬を飼いました。」

「どこで?」

私「〇〇です。」

「はぁ?

お前本気で言ってんの?

子犬を飼うときはブリーダーのとこに行って、きちんとした子犬を選んで飼うって言ってたよな?

なに?

可哀想だから、同情で飼ったのか?

お前は助け出して良かったとか思っているかもしれないけど、そうやって飼ってしまうことが、そういう店を助けることになるってなんでわからない?

お前が飼ったことで、ケージが1つ空いて、またパピーミル(子犬生産工場。ブリーダーではなく、繁殖屋)から市場(子犬を競り落とすオークション)を通して子犬が入って来る。

生後45日くらいのよちよち歩きで、まだどんな子犬かわからない子を何も知らないほとんどの人が抱っこをして、衝動的に飼っていく。

お前はいいかもな、知識があるから。

なんとか育てられるかもしれない。

でも、何も知らないで飼って病気を発症したり、しつけをしきれずに手放したお客様や、後悔した人を沢山見てきたよな?

プロとして見本にならなきゃいけないお前がなんでそれをやっちゃうんだよ。

本当にガッカリだ。

もう好きにしろよ。」

怒りを通り越して、失望と呆れが電話口の向こうから痛いほど伝わってきた。

自分の師匠は独立する前にフランチャイズの店長をやっていて、生体販売もしていた。

独立してからは、子犬を欲しいお客様がいたら店頭に子犬は置かず、一緒にブリーダーの所に行ってアドバイスをしながら子犬を選ぶ方法をとっていた。

自分が子犬を飼うときも、ブリーダーから飼うのが当たり前の流れになっていたが、自分はそれをせずにジャックを迎えてしまった。

師匠の怒りは当然だと思ったが、その時の自分はまだ若くて、よくわからないまま意地になっていた。

でも、今なら師匠の言っていることがわかる。

悪質な繁殖屋が映像として出ている映画、「犬に名前をつける日」をみんなに見てもらいたいなぁ。

ジャックもおそらくパピーミル出身の子だ。

自分もこうと決めたら絶対に曲がらない性格なので、意地でもジャックをいい犬に育てるって決意した。

動物病院に行ったら、皮膚はアカラスと言われ、関節は前も後ろもグラグラで、絶対に太らせないように、下手すれば手術しなければいけなくなる。と先生に言われた。

その時に勉強していた知識を全てジャックにぶち込み、アカラスは先生が驚くくらいに早く完治した。

半年くらいかかるかもと言われていたが、1ヶ月くらいでアカラスを押さえ込んだ。

先生には申し訳ないけれど、薬は使わなかった。

アカラスになった理由はペットショップでのストレスと、合わない食事を与えられたことにより、腸の状態がめちゃくちゃで、ジャック本来の抵抗力が無くなっていて、アカラスが発症していたのではないかと思ったから。

なら、ジャックが元々持っている力を取り戻せばよい。

ジャックに合うフードを与えればよい。

合うフードが見つかったなら、うんちの状態を見ながら、食べたいだけ食べさせる。

食事制限?

そんなものはやるわけない。

食べたいなら満足するまで食べればいい。

ジャックの本能を信じる。

フードはみんながあげすぎじゃない?って心配するくらいに食べさせまくった。

走りたいなら、気が済むまで走ればいい。

遊びたいなら、友達の犬と遊びまくればいい。

噛みたいなら、噛んでもいいおもちゃやガムを噛みまくればいい。

運動量が多いコーギーなのに、狭いサークルに入れられ、子犬なのに出来なかったことを全てジャックにやらせた。

足りなかった分の社会化を取り戻す。

成長期の子犬だからこそ、早期の完治は見込めるんじゃないかと思った。

そのショップからもらった、獣医師推奨全米No.1と謳われているフードを即座にゴミ箱に投げ捨て、下痢をしないフードを経験から予測して与えた。

予想通り、次の日から下痢は止まり、白っぽかった毛色は1ヶ月くらいはかかったが、一気に濃い色の、艶がある被毛になっていった。

毎日食べるフードがどれだけ大事なのかを、ジャックから教わった。

病院での対症療法ではなく、予防することに意識を置いた。

ジャックを飼ってからよりフードの勉強をするようになった。

それらの経験は、のちにお客様の犬に還元されることになる(^^)v

それでも、体も弱いし、いざ自分でやってみるしつけも実際には本とは全く違い、初めて自分で飼った子犬を育てるのが大変で、育児ノイローゼみたいになった。

だから、合宿にカウンセリングに来るお客様の気持ちがよくわかる。

私も最初はこの先どうなるんだろ?って不安がいっぱいだったから。

とにかくがむしゃらに1歳までに、朝は家の近くのドッグランか多摩川に行き、昼間はお店の看板犬をして、それでも疲れてなければ夜は駒沢のドッグランへ行った。

とにかく、色んな刺激を与えて、色んな所に行き、沢山の人と犬と会わせまくった。

絶対に失敗はできない!!ってことを強く思っていたのをよく覚えている。

プレッシャーはハンパじゃなかった。

いいフードを勧めている店員の愛犬の状態が悪かったら説得力がない。

しつけをアドバイスする店員の愛犬が言うことを聞かなかったら説得力がない。

とにかくプロとしてジャックを飼い、自分もジャックもバカにされたくなかった。

でも、実績も本当の意味での自信もないから、ありとあらゆることに噛みつき、結果いつも、お前は生意気なんだよ、何様だ、落ち着け、と師匠に怒られまくった\(^^)/

1歳を過ぎて、やるだけやってジャックは自分にとって最高の犬になった。

体重はコーギーのスタンダードから大きく外れる8.5キロと小さいが、気が強く、リーダーシップがあり、その後は私と共に子犬を育てる仕事をしてくれるまでになった。

ジャックは自分の分身だし、宝だ。

飼ってもちろん後悔はしていないが、自分が体験してみて、本当に子犬を育てるのは大変なことなのだと知った。

ペットショップで、何も勉強せず、何も考えずに小さな子犬を飼うことを私はお薦めしない。

だって、その後に育て、しつけをするのは全部飼い主だから。

大人しいですよ。

お散歩はそんなにいりませんよ。

大きくなりませんよ。

しつけの相談で、その場かぎりのペットショップのお約束の接客、売りっぱなしのペットショップに怒り、傷付く飼い主をどれだけ見てきたことか。

勿論、そういう所で飼った子犬が全員不幸になるわけではないのはわかっている。

でも、困っている飼い主が沢山いるのは事実だ。

ジャックを飼い始めた自分は周りに恵まれていた。

お店にジャックを連れていくことができて、信頼出来る師匠がいて、ジャックには親代わりのボーダーコリーがいて、沢山のアドバイスをしてくれる人がいた。

それでもジャックが1歳になるまではとにかく不安だった。

自分と同じように不安を抱えながら子犬を育てている人は絶対にいるはず。

だから、色んな方のアドバイスもあって、代表に合宿をやらせて欲しいとお願いした。

合宿に来る子達みんながジャックの小さな頃と被る。

最初から出来る子なんていない。

絶対にいい子になって、お母さんの所に帰ろうねって毎回思う。

愛護センターや愛護団体の所に飼い主を待っている子達が沢山いる。

そこから家族として迎える選択肢があることをもっと知って欲しい。

じゃあ、なんでお前は子犬を販売してるんだと言われるかもしれない。(この時は子犬販売をしていましたが、もう生体販売はしていません。)

ずっと葛藤は抱えている。

正直、生体販売を辞めたいと思うことは多い。

生体販売は、こだわればこだわるほどしんどいから。

自分が渡したいと思うお客様にしか渡したくない。

子犬の接客はほぼしないので、かなり感じの悪いペットショップに見えるだろう。

でも、他のペットショップと同じにされたくない。

絶対に。

子犬を迎えたお客様はUGで育った飼いやすい子犬だから飼うことができたと仰って下さる。

お客様の笑顔とわんこの幸せそうな顔を見るたびに、自分たちのやっていることは間違っていないのかなと思う。

色んな意見や考え方はあると思うが、今は試行錯誤しながらいくしかないかなと思っている。

本当に犬を飼うってすごいこと。

簡単になんて飼えない、絶対に。

でも、それらをクリア出来たなら、最高の世界がその先に待っている(*^^*)

ジャックを家族として迎えて本当に良かった。

ジャック、誕生日おめでとう🎁✨

以上です。

私はコーギーのジャックと出会って人生が変わりました。

店長が自分をトレーナーと名乗らずに店長と言い続けているのは、販売員としての誇りがあり、トレーニング以外のアドバイスも店長として出来るからです。

トレーナー高橋ではなく、店長の高橋なのです。

コーギーのジャックを飼って、楽しい事ばかりではなくて、キツい事も、悩む事もあったけれど、ジャックは本当に最高の犬で、自分にとっては息子であり、最高の相棒であり、たくさんの事を教えてくれる先生でした。

学びに終わり無し。

まりさんに高橋!!しっかりやれ!!と言われないように、強い気持ちを持ってこれからもプロとして、いち愛犬家としてやっていきたいと思います。

うちらは犬の仕事してるんだから、三峯神社に行くよ!!とまりさんに連れて行ってもらいました。

写真を中々撮らせてくれなかったまりさん、私も写真撮られるのあまり好きじゃないので、この時の写真を撮ろうと提案した自分を褒めてあげたいです笑

数少ない思い出の写真になりました。

確か、2回行って3回目も行きたいねといつも話していましたが、それは叶いませんでした。

まりさんが大好きだった三峯神社に、犬仲間と今度行こうと昨日、話しました。

中は写しませんでしたが、葬儀場の方がビックリされるくらいに全国からお花が届いていました。

入口にはまりさんのカットスタイルが載った本が。

どれもトリマーじゃない私でも、何度読んだわからないくらいに見た本たちです。

新幹線に乗る前の夕陽がとても綺麗でした。

この光景も一生忘れる事は無いでしょう。

この業界に小島麻里さんという素晴らしい功績を残した大先輩がいる事を決して我々は忘れません。

まりさん、本当にお世話になりました。

まりさんに出会えた事は私の人生にとって大きな宝物です。

ありがとうございました。

痛みから解放されて、ゆっくり休んでください。

ご冥福をお祈り致します。