肝臓に優しいドッグフードの選び方

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肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、異常が見つかったときには重度となっていることも少なくありません。肝臓に負担をかけないための肝臓ケアを考えたドッグフードの選び方をご紹介致します。

肝臓の機能

肝臓の機能は様々あり、主に下記の機能が挙げられます。

胆汁生成

主に脂質の消化に重要な役割を果たす胆汁を生成します。主成分は胆汁酸です。

解毒機能

タンパク質を消化した際に発生したアンモニアを尿素に変換します。肝臓によるアンモニアの解毒作用が低下した場合には、尿毒症に陥る場合があります。

糖代謝

その時の状態に合わせて、エネルギーが不足している場合には糖新生や脂肪分解を行い、過剰な場合には貯蔵することにより、体内を適切な状態を保ちます。

肝臓の機能が衰えたワンちゃんに推奨されるドッグフード

脂質の過度な摂取を控える

肝臓の機能が衰えると、胆汁の生成が十分に行われなくなり、脂質の消化に影響が出ます。そのため、消化しきれない高脂質のドッグフードを避け、低脂質のドッグフードを選ぶことが推奨されます。

食物繊維を摂取する

食物繊維は脂質や糖の吸収を緩やかにし、肝臓の負担を和らげます。特に水溶性繊維(可溶性繊維)を多く含むドッグフードが推奨されます。水溶性食物繊維としては、難消化性デキストリンが挙げられ、水溶性食物繊維を多く含む食品としては、チコリ根やサイリウムが挙げられます。

ドッグフードの成分表に表示される粗繊維は一部の不溶性食物繊維の含有率となっていて、一部の不溶性繊維と殆どの水溶性繊維は粗繊維率には含まれません。そのため、水溶性繊維がどれだけ含まれているかということを見るためには、原料から推察する必要があります。

高ナトリウムを避ける

高ナトリウムのドッグフードは避けるべきですが、肝臓の状態が低中度で一般的な総合栄養食のみを給与している場合には、ナトリウムの摂取量について気にする必要はほぼありません。AAFCOの定めるナトリウム量は下限のみの設定(2018年現在)ではありますが、通常0.5%以下のものが大半です。その量であれば、犬は人と比べてナトリウムの排出能力が高いとされているので、他の臓器(特にナトリウム排出機能を持つ腎臓)に問題ない限りはドッグフードに含まれるナトリウムの摂取により、肝臓の状態が悪化することはまず無いでしょう。

適度なタンパク質を摂取する

タンパク質を消化する際に発生するアンモニアの変換機能が衰えた場合に、アンモニアの解毒が十分に行われない可能性が出てきます。人においても、肝硬変が疑われる場合には高タンパク食に注意する食事指導が行われる場合があります。犬においてははっきりしたデータが見当たりませんでしたが、個人的に極端に高いタンパク質を摂取する理由はないのではと考えます。

一方で、肝臓の機能を維持するために、良質なタンパク質が必要とされますので、極端に低いタンパク質率のフードも推奨されません。消化吸収性の高い動物性たんぱく質を必要量摂取することが重要です。

個人的には、肝臓の状態が低中度であれば粗タンパク質率20%以上30%以下、重度の場合には20%以下のドッグフードを推奨します。

リモナイトゼオライトなど、アンモニアを吸着して排出する機能を持つ原料を含むドッグフードも、アンモニアの吸収を抑えるという点で推奨できます。

タウリン

タウリンは、肝臓に多く含まれている成分です。犬においても肝臓の機能を保つ上で重要な栄養素ですが、肝臓の機能が衰えたわんちゃんにとって、タウリンをどの程度摂取すれば効果があるのか、調べた限り情報は確認することが出来ませんでした。

日本の医薬品としてのタウリン(合成タウリン)は1日3gが目安となっているため、犬で考えると体重5kgで少なくとも1日300mg程度は、安全に摂取できるでしょう。タウリンは比較的安全性が高く、毒性は低いと考えられています。

コリン(レシチン)

人の研究において、コリンの欠乏と肝硬変の発症には関係があることが知られています。犬については、AAFCOの基準においてコリンの最低量が定められているので、AAFCOの基準に準じた総合栄養食を与えている限り、コリンが不足する心配はありません。

コリンは一般的に安全性が高く毒性は低いとされていますが、過剰量のコリンを給与することが肝臓の保護に繋がるかははっきりしていません。

鉄分(特にヘム鉄)

人における肝炎や肝硬変の場合には、鉄を制限した食事指導がされる場合があります。

ヘム鉄は、非ヘム鉄と比べて2倍から30倍程度吸収されやすいと考えられており、赤身肉に多く含まれます。そのため、赤身肉より白身魚を主原料にしたドッグフードのほうが、ヘム鉄の摂取量を抑えることが出来ます。また、赤身肉でも粗タンパク質率が高いフードより低いフードを選ぶことで、ヘム鉄の摂取量を抑えることが可能です。部位によっても大きく異なりますが、馬肉や鴨肉、鹿肉、ヤギ肉、牛肉等は赤身肉の中でも特に鉄分(ヘム鉄)を多く含みます。内臓は全般的に鉄分を多く含んでおり、レバー(肝臓)やハツ(心臓)、マメ(腎臓)は特に含有率が高く、おやつの原料として利用されることが多いため、与えることは控えたほうが望ましいでしょう。

植物性食品は、非ヘム鉄を含む物が多いですが、豆類や未精製の麦類は鉄分が多く、白米やイモ類は少ない傾向にあります。

ただ、犬における鉄分摂取と肝臓との関係について臨床データが確認できなかったため、推奨程度にとどまります。

まとめ

適度なタンパク質を含む低脂質で高繊維質のドッグフードはかなり限定されます。嗜好性や食物アレルギーの有無などで、肝臓が衰えたわんちゃんにとって最適な餌は異なるため、探しきれない場合等ございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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この記事の筆者

吉武 雄史UGpet Inc. 代表取締役社長

小学校の卒業文集に「ペットショップの店長になりたい」と夢を記し、20歳となり1年間アルバイトをして貯めた資金を元手として、明治大学在学中にUGペットを創業。現代表取締役社長を務める。愛犬はトイ・プードルのくるみとミニチュアダックスフントのビビ。ZENペットフードの開発者です。

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