愛犬の去勢手術のメリットとデメリットと去勢手術をうける時期にについて紹介していきます。
去勢手術とは
去勢手術とは全身麻酔をかけ、精巣を取り除く手術です。
傷口は小さく、日帰りや1日入院で済むケースが多いと言われております。
去勢手術の費用
費用は病院やわんちゃんの大きさによって異なりますが、15,000~30,000円と設定されている所が多くみられます。雄犬の去勢は、雌犬の避妊に比べて、低い料金設定となっております。
去勢手術のメリット
去勢を行うことで、男性ホルモンに関連して起こる病気や行動を抑えることができるといわれています。
特定の病気のリスクが減る
精巣腫瘍
精巣腫瘍とは、精子を作り出す精巣に腫瘍ができてしまう病気です。悪性の場合は、他の臓器に転移してしまう可能性があるので、手術によって腫瘍を摘出する必要があります。6歳以上で発症率が上がり、高齢の場合は手術に耐えられない場合もあるので、注意が必要な病気です。
前立腺の病気(前立腺肥大など)
前立腺の病気で一番多いのは前立腺の肥大と言われています。前立腺肥大とは、性ホルモンのバランスが崩れることで前立腺が大きくなってしまった状態をいいます。前立腺肥大は進行するとおしっこがでにくくなったり、便秘になったり、稀に血尿がでることがございます。主に去勢をしていない老犬がかかりやすい病気と言われております。
肛門周囲腺腫
肛門周囲腺腫とは、肛門の周りにある腺に腫瘍ができた状態を指します。腫瘍は大きくなり、排便困難や悪化すると化膿や出血を伴うケースもございます。治療方法は一般的に摘出手術で取り除き、再発しないよう同時に去勢手術を行ないます。肛門周囲腺腫は、去勢していない雄犬がかかりやすいと言われております。
会陰ヘルニア
会陰ヘルニアは、肛門のまわりが膨らみ排便が困難になり、悪化した場合は腸や膀胱等が飛び出してしまう病気です。治療法は飛び出した臓器を戻し、筋肉の隙間を埋める外科手術が必要となります。5歳以上の雄犬に多く発症する病気と言われています。会陰ヘルニアは引用論文では、あげられておりませんが、去勢をしていない犬がなりやすい病気であると言われおります。
On the positive side, neutering male dogs
• eliminates the small risk (probably <1%) of dying from testicular cancer
• reduces the risk of non-cancerous prostate disorders
• reduces the risk of perianal fistulas
• may possibly reduce the risk of diabetes (data inconclusive)引用Long-Term Health Risks and Benefits Associated with Spay / Neuter in Dogs
Laura J. Sanborn, M.S. May 14, 2007
ドッグランで思いっきり遊べる
ドッグランには沢山のわんちゃんが遊びに来ており、雄犬も雌犬もいます。多くのドッグランには、「発情中のわんちゃんはご利用できません」等の注意書きがございますが、マウンティング行為やマーキング行為等によるトラブルが実際に起こっています。愛犬をトラブルから守るためには十分な注意が必要です。飼い主様同士も愛犬同士も仲良く楽しく遊べるように心がける必要があります。
ストレスの軽減
雄犬には発情期がなく、主に発情中のメスに対して発情します。発情した雌犬のフェロモンを嗅ぐことで雄犬は興奮状態となり、交配が出来ないことに対して大きなストレスがかかります。雌犬の発情期は年に1・2回ですが、雄犬は発情している雌犬が近くにいるだけで1年中発情期になります。
望まない交配を避けられる
雄犬は発情した雌犬のホルモンを感じとると、雄犬は子孫を残すために雌犬に近づきます。また雄犬が家を脱走して雌犬のところへ行ってしまうといったケースもあります。望まない交配によって飼い主様同士のトラブルになったり、生まれてきた子犬のことも考えて、望まない妊娠はさせないよう雄犬も雌犬も注意が必要です。
性格が穏やかになる
去勢をすることで、性格が穏やかになると聞いたことのある方もいらっしゃると思います。これはその子の持った性格自体が変わるのではなく、性ホルモンに関する刺激がなくなるので、精神的に落ち着き、雄犬に対する攻撃性がおさまったり、発情期の雌犬が近くにいても騒がなくなる等の変化がみられることをいいます。
マーキング行為の改善
マーキング行為は、室内でも室外でも自分の縄張りを確認するために至る所で行います。この行為は時にトラブルの原因にもなり、どうにかしたいと思われている飼い主様も多くいらっしゃると思います。去勢をすることで縄張り意識が軽減され、マーキング行為も改善することが見込まれていますが、マーキング行為が習慣化してしまっている雄犬の場合は、術後も改善されないケースもあります。
去勢手術のデメリット
子供を作れなくなる
去勢をするということは、その時点で愛犬の子孫を残せなくなることを指します。愛犬の子孫を残し、その子たちも大切に育て上げたいという想いをお持ちの場合は、去勢の時期を考える必要です。
手術時の麻酔のリスクと術後のストレス
去勢手術は、傷口も小さく日帰りでも手術が可能ですが、全身麻酔をかけて行うため愛犬の身体に負担がかかります。特に高齢犬や疾患をお持ちのわんちゃんはリスクは高いと言われております。手術にあたって獣医師様より全身麻酔のリスクについて説明が必ずございますので、全身麻酔のリスクについてしっかり理解しておくことが必要です。また、術後は安静にし、体にストレスのかからないよう、愛犬の傍にいてあげることをおすすめ致します。
太りやすくなる
去勢手術後は、体のエネルギー要求量そのものが減るので、去勢前と同じカロリーの食事を摂り続けているとカロリーオーバーになってしまいます。犬の肥満は様々な病気のリスクを高めます。愛犬の適正体重を維持するために、フードを避妊去勢用フードやカロリーの低めのフードに変えてみたり、おやつを控える等食事管理を行う必要があります。
去勢手術を受ける時期
去勢手術の時期は結局いつが良いのか、それはわんちゃんそれぞれの性成熟の時期を目安にしてあげると良いと思います。雄犬は、体の大きさや個体によって差がありますが、生後6か月~生後1年頃に性成熟を迎えると言われております。愛犬が性成熟を迎えた頃を目安に動物病院で獣医師様とご相談の上、去勢手術の日程を決定されるのがベストではないかと思われます。
性成熟期の特徴
性成熟は一般的に小型犬ほど早く、大型犬や超大型犬は遅くなる傾向にあります。早い子では生後6か月には性成熟を迎え、生後1年を過ぎる子もいます。愛犬が性成熟期を迎えているのかどうかを確認する手段としては、マーキング行為や片足をあげておしっこをする行為等があります。足をあげておしっこしていなかったのに足をあげておしっこをし始めた、お散歩時にマーキング行為をするようになった等の愛犬の変化が見られた時が性成熟の合図だと言われています。
去勢を早い時期に行うメリット
去勢を早い時期に行うデメリット
骨肉腫のリスクが高まる
On the negative side, neutering male dogs
• if done before 1 year of age, significantly increases the risk of osteosarcoma (bone cancer); this is a common cancer in medium/large and larger breeds with a poor prognosis.引用Long-Term Health Risks and Benefits Associated with
Spay / Neuter in Dogs
Laura J. Sanborn, M.S. May 14, 2007
上記の論文によると、雄犬において1歳以上で去勢した子に比べると、1歳以下で去勢した子の骨肉種の発生率が高くなると言われております。特に大型犬の場合は発症しやすく、性成熟も小型犬より遅めなので、あまり早い時期に行わない方が良いと言われています。
ホルモンバランスを乱す
ホルモンバランスが崩れると、皮膚炎になったり脱毛症状がでることがあります。
成犬期~中高齢期の去勢手術のメリット
成犬期~中高齢期の去勢手術のデメリット
まとめ
去勢手術に関しては、様々な見解がなされメリットもデメリットもございます。去勢手術を受けるか・受けないかは、飼い主様お一人お一人と愛犬とのライフスタイルに合わせて決めて頂ければと思います。また去勢手術を受ける時期に関してましては、性成熟を迎えた頃(生後6か月~生後1年)にかかりつけの獣医師様に相談の上、決定して頂いても遅くはないと思われます。生後1年を過ぎ、成犬期になっても去勢手術を行なうのは遅くはありません。ただ、高齢になるにつれて、全身麻酔のリスクが高くなったり、身体への負担が大きくなりますので、去勢手術をお考えの場合は体力も十分にある成犬期までに行うことをお勧め致します。