家族に吠えまくる元保護犬。

当店では、直接ご来店いただけない遠方のお客様に、電話でのカウンセリングをおこなっております。

今回の記事は、電話カウンセリングのお客様のお話しです。

トイプードルのピースくんは元保護犬です。

繁殖所からレスキューされた男の子。

外の世界を知らなかったピースくんは、最初は怯えていたものの、1週間くらいでお母さんにべったりになったそうです。

しかし、ご家族のお父さん、息子さん達には家族になって早9ヶ月経つものの、未だに吠えまくるとのこと。

成犬になってから外の世界を知った子…

男性を怖がるのは保護犬ではよくあることです。

正直、難しいかなと思いました。

お客様はこれまでに一生懸命、遅れた社会化を取り戻すべくトレーニングをし、色んな所に通ったそうです。

でも、なかなか思うようにはいかず…

そんな中、ネットで見つけた東京のクレイジーな店長なら何かきっかけを掴めるかも?とお電話をくださいました。

今までの経緯を聞き、やはりピースくんはまだ怖がっているのかな?と最初は思いました。

電話カウンセリングは、対面カウンセリングとは違って、直接その子を見れないので、対面カウンセリングよりも難しく、より慎重にアドバイスをしなければいけません。

一歩間違うと、私のアドバイス次第で、良くなるどころか悪化する可能性があるからです。

お客様に吠えている時の動画を送ってもらいました。

ん??

これは…

私はてっきり後ずさりしながら、恐怖を抱え、必死に吠えまくるピースくんを想像していたのですが、動画に映っていたピースくんは想像とは真逆で、ドヤ顔でご家族に吠え、さらには本気ではありませんが、噛もうとしていました。

めちゃくちゃ強い男の子。

でも、社会化が入っておらず、ルールが無い。

勿体無い。

お客様は、褒めるトレーニング、怖がりだから叱ってはいけないとアドバイスされていたとのことでした。

私はお客様に「お母さんが吠えるのをやめなさい。と叱ってください。」とアドバイスしました。

え、そんなことしていいんですかね…と、困惑するお客様。

それはそうです。

今までとは真逆のアドバイスなわけですから。

でも、動画に映るピースくんは、吠えることをまるで仕事のようにこなし、必死になっているように見えました。

おそらく、常にピリピリしている。

「この子はすごく体力があるはずです。お散歩に行ってください。仕事をさせないといけません。この子は弱くないです。」とお話しすると「でも、車とか見るとパニックを起こすのです…」とお客様。

「はい、だからこそお散歩に行くのです。大好きなお母さんと世界を拡げるのです。本当に怖がりだったら私も無理強いはしません。でも、ピースくんは常に神経を尖らせて、家の中では吠えること、家族を監視することが仕事になっています。まだ若いですからね。パワーが有り余ってるんです。怖がるから可哀想、無理させない。逆です。外に出て、気疲れするくらいのお散歩をするのです。外でお母さんと散歩という名の仕事をして帰ったらどうなるか?家の中での監視と吠える仕事は減ると思います。」

最初はでもでもだってだったお客様にトドメを。

「でも、今までのやり方でよくなってないんですよね?私を信じてやってみてください。やってダメなら私も引きますが、やってもいないのに怖がるから、パニックを起こすからと逃げていては、ピースくんも変わりませんよ。お母さんがやるんです。お願いします。」

お母さん、覚悟を決めました。

そして、昨日お客様から連絡がありました。

電話カウンセリングをしてからたった1週間です。

お客様から許可をいただいたので、ほぼ原文のまま掲載させて頂きます。

「店長 高橋様

おはようございます。

お世話になります。

電話カウンセリングから一週間、ピースの様子をお伝えします。

ピース、激変しました!

日曜日、月曜日、火曜日、県道沿いを歩いて大きな公園を一周するコース1時間強の散歩、夕方は県道沿いを歩いてからの静かな場所での近所の散歩1時間弱、水曜日は午前中トリミングで市内に出たので、そのままチャレンジで宮島に行きました。

初めての電車、フェリー物凄い人の中でピースは歩きました!感動です!色んな外国人の方から声をかけていただき撫でてもらうという、これまた初めての経験をしました。あれだけの人混みの中を私に必死になって付いて歩くピースの姿を見て今まで私はピースの事をちゃんと理解していなかったと深く反省してます。

他犬、鹿を見ても全く反応なし。(これは我が家に来た当初からです。)

この日を境に店長さんが仰っていた通り、ピースの私を見る目が大きく変わりました!

私のことを頼りにしてくれてる、そう思うんです。ものすごく嬉しくて、愛おしくてたまりません。

さすがにこの日は2時間以上歩きまくり(ほんの少しの休憩を3回しただけ)ピースは帰りの車の中で1分も無いですが横になり寝ました。これも初めてです。

帰ってからも家族に吠えるパワーが残っており、私はピースの半端ない体力に大変驚き今までの散歩の刺激の無さと歩きまくるということをしなかったことに、ピースに対して申し訳なく思いました。

金曜日、広島市内に出かけ平和大通り沿いを1時間強歩きました。ものすごく歩くペースが早くても、ピースはガンガン付いて歩きました。

前後から来る自転車に反応せず、この日はなんと車や電車が行き交う道路の側でオシッコができました!

交差点のすぐ側でベンチに座り25分間そこにいたのですが最初は私の膝に前足をかけて周りを見ることを数回したらお座りをして周りを見始めて20分過ぎには、なんと伏せをしてました。その間、電車が通り、救急車が出動したり物凄い音がしてましたが、ピースは緊張しながらも、しっかりと見聞きしてました。

流石にこの日は疲れたのか車の中で眠る時間が3分くらいに伸びました。

夜はケージの中で速攻爆睡です。

土曜日、田んぼで使用するトラクターを使うことになり物凄いエンジン音なので、ピースの練習に良いと思い、トラクターのすぐ側に私と一緒にいて、エンジンをかけてもらいました。最初は驚き逃げ腰になりましたが、ジッとトラクターを見て大丈夫と確認できたようで、トラクターに夫が乗って出て行くと後を追いかけてました。

店長さん、ピースのことを教えてくださって本当にありがとうございます!

家族に対しての吠えはありますが、私がコラー!!と本気で叱り飛ばすとシュンとなりやめるようになりました。

私からは奇跡です。

店長さんのカウンセリングを受ける前はいくら叱っても全く聞かなかったピースが今は、お母さんに叱られたぁーと。

店長さんに沢山沢山教えていただきたいことがあるのですが、今は家族に対しての吠えをやめる事と歩いて歩いて歩きまくること、刺激のある生活にしていくことに集中して頑張ります。

本当にありがとうございます。」

もうね、読んでる途中で泣きますよね。

お母さん、物凄く怖かったと思います。

無理強いして、ピースくんに逆効果になったらどうしよう…と。

でも、信じてチャレンジしてくれました。

動画から感じた、ピースくんの必死な姿。

普通に見たら問題犬。

でも、私から見たらこの子はまだ何も教えられていないと思いました。

なんてことありません。

難しく考えるからドツボにはまるのです。

何かを教えるとか、やめさせるとか、褒めるとかよりもまず散歩をしただけです。

大好きなお母さんと。

ドキドキワクワクの外の世界。

最初はパニックを起こしたとしても、何度も書きますが、ピースくんは強いんです。

頭が良いんです。

見聞きさせて、大丈夫だと思ったら受け入れる力があります。

お客様、信じてくださってありがとうございますm(_ _)m

全ての子が毎回、このように上手くいくわけではありません。

電話カウンセリングだけでここまで劇的な変化が出ることは稀です。

やはり、実際に来てもらってその子を見て、対面カウンセリングにてお客様により詳しくアドバイスしないとなかなか難しいのです。

直接ご来店したお客様でも、毎日、LINEがバンバンきます。

それにひたすら答えて、お客様が理解し、納得し、成長すると、子犬も成長します。

それを1歳くらいまで続けます。

お客様は自ら小さな世界をぶち壊し、ピースくんと共に外の世界に出てくれました。

今までのことがあるので、完全に大人しい子にはならないかもしれません。

でも、ピースくんはまだまだ変わると思います。

お母さんに完全にスイッチが入ってますからね笑

保護犬だから可哀想。

叱ってはいけない。

ピースくんに至ってはそれはそれほど心配なかったのです。

むしろ、男気のある素敵なトイプードルでした。

カウンセリングなどで、この子は叱っていいですよ。と私がお話しすると、皆様、え!?叱っていいんですか?叱らないようにと教わっていたのですが…となることがあります。

わかります。

叱りたくないですよね。

でも、そう言うお客様の手は噛まれまくって穴ぼこだらけ、傷だらけ…

愛犬に監視され、当たり前のように噛まれても、それでも叱ってはいけない?

褒めなければいけない?

注意してはいけない?

ほとんどの噛み犬は、自分がやっていることを問題行動などとは思っていません。

誰も注意してくれないから、いけないよ。と教えてくれないから噛んでいるのです。

なぜ注意してはいけないのでしょう?

なぜ家族を噛んではいけないと教えてはいけないのでしょう?

叱ったら犬が萎縮する、人を怖がる。

先天的に怯えが強く、恐怖から噛む子であれば、確かに叱らない方がいいでしょう。

でも、家族をドヤ顔で噛み、お散歩で外にいけばおめーら全員かかってこい!!と吠えまくる子に、それは違うよ。と教えていけないというのは、私からすると不思議でならないのです。

こういうことを書くと、よし、やっぱりうちらは舐められてんだな。今日からバチバチに叱りまくろう!となる方がいますが、みんながみんな叱ればいいというわけではありませんのでやめてください。

先日、卒業した野犬の怖がりのよつばは叱ることはほとんどありませんでした。

叱ったら逆効果になるからです。

先日、社会化お泊まりに来たよつばと同じお散歩でパニックを起こす柴犬のはっちゃんは叱れます。

なぜなら強いから。

今、お泊まりに来ている子達もきちんと伝えたら良いのに、優しいトレーニングが逆にその子達を迷わせ、勘違いさせてしまっています。

余計なことは考えず、シンプルにいけないことはいけないと言い、我慢を覚えさせ、散歩や遊びで刺激と発散をさせる。

普通に落ち着いて暮らすイメージで。

やたらめったら話し掛けたり、おやつあげまくらなくても良いかもしれないです。

なぜなら、彼ら彼女達は強いからです。

変われるということを私は知っているし、何よりも最初は辛いかもしれないけれど乗り越える力があると信じているからです。

でも、勘違いしてもらいたくないのは、それらのトレーニングを否定しているわけではありません。

昔の支配理論によるトレーニングよりも今の優しいトレーニングの方が絶対にいいです。

犬が番犬から、家族になった現在。

私の所に来ている子達は、犬の幼稚園などから外れてしまったり、断られた子達が来るというだけで、そういうトレーニングでお利口さんになっている子犬達の方が圧倒的に数は多いです。

そして、私はそういう所で断られるくらいの気が強い子犬が好きなのです。

なので、カウンセリングをして、この子は問題無いな、大丈夫そうだな。と思ったら、近所に犬の幼稚園はありますか?とお聞きし、あるということであればそちらを勧めます。

普通の子犬が、クレイジーな店長と、イッちゃった群れのUGに来る必要はありませんから笑

中目黒近辺のお客様であれば、犬の幼稚園が何軒もあるので、普通の子はそちらを紹介しています。

私のやり方よりもそちらの方が合うなとか、この犬種はうちよりもあそこの方が合うなとか、遠いお客様で通えないなら、その地域に紹介出来るトレーナーさんがいれば紹介します。

私が全てお受け出来たらいいですが、私のやり方が完璧ではないし、完璧なトレーニング方法はありませんから。

みんなで協力しあえたらいいのかなと♪

己のプライドよりも、お客様とその愛犬が楽しく暮らせるお手伝いがしたいです。

本当に犬は、人によって変わります。

お客様とピースくんがそれを証明してくれました。

ピースくん、家族みんなに対して優しくなってきているとのことです。

お父さんも息子さんも、ピースくんのことが大好きなんです。

きっと大丈夫です♪

みんなクセも気も強いけど、最高に可愛い子達です。

強いから悪い子ではありません。

強さは正義です。

これからも、他で断られた子犬達、それによって傷付いたお客様を励まし、時には喝を入れながら、お客様の悲しい、悔しい涙を後に嬉し涙にしていけるように精進して参ります。

犬を飼ったら楽しんでもらいたいからです。

犬と戦うために子犬を飼う人はいないと思います。

桜の季節も終わりますね。

コーギーのジャックは天国にいきましたが、フレンチブルドッグのボルドーを可愛がる愛犬家でいたいです。

プロである前にまず愛犬家でありたい。

桜とボルドーちゃん♪

最後は親バカになってしまいました笑

最後にいつもの一言を。

犬ってやっぱり最高なのです。